マーケティングのPDCAをまわすうえで欠かせないプロセスが効果測定です。マーケティング施策には様々な手法があり、効果測定の指標もそれぞれ異なります。本記事では、BtoBマーケティングにおける効果測定の概要や施策別の指標(KPI)、効果測定に役立つツールについて解説します。
シーラベルでは、「マーケティングの効果測定」「施策ごとの指標(KPI)設定」にお困りの企業様を支援しています。
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BtoBマーケティングにおける効果測定
BtoBマーケティングの効果測定は、マーケティング活動の成果を高めるうえで欠かせないプロセスです。
まずは、マーケティングにおける効果測定の基本的な考え方について見ていきましょう。
マーケティングの効果測定とは
マーケティングにおける効果測定とは、広告やイベントなどの施策を実施した結果、どのような成果が得られたかを数値化して検証することです。施策を実施して終わりではなく、効果を測定・検証することで、各施策の有効性や改善すべき点を確かめながらPDCAをまわすことができます。
そもそも、何をもって「マーケティングの効果」とするかは効果測定の目的などで変わってきますが、主に以下の2点を指します。
- 費用対効果
- マーケティング目標に対する各施策の貢献度
費用対効果は「施策に費やしたコストに対してどれくらいの成果が得られたか」を示す指標です。例えば、100万円のWeb広告を運用して150万円の売上が発生した場合、コストに対して1.5倍の費用対効果が得られたことになります。費用対効果を数値化することで、経済性の観点で施策の良し悪しを判断できるようになります。
また、「各施策がマーケティング活動全体の目標に対してどの程度貢献したか」という観点での効果測定も重要です。例えば、「新規リードを月100件獲得する」という目標に対して3つの施策を展開した場合、コンバージョン数(CV)・コンバージョン率(CVR)などの指標で各施策の貢献度や優劣を見極めることができます。
費用対効果および効果測定の具体的な指標については後述します。
マーケティングの費用対効果を測定する主な指標
マーケティング施策の費用対効果は、主に以下に挙げる指標で測定することができます。
- CPA
- ROAS
- ROI
- CAC
一つずつ見ていきましょう。
CPA
CPA(Cost Per Acquisition)は「顧客獲得単価」を表す指標で、コンバージョンを1件獲得するために要したコストを算出することができます。コンバージョンには商品購入や会員登録、申し込み、問い合わせなどが含まれます。
<計算式> CPA=マーケティング施策の費用÷コンバージョン数 |
例えば、50万円のWeb広告と25万円のSNS広告を運用し、どちらも25件のコンバージョンを獲得した場合、CPAはWeb広告が50万円÷25件=25,000円、SNS広告が25万円÷25件=10,000円となり、SNS広告のほうが費用対効果が高いことがわかります。
ROAS
ROAS(Return on Advertising Spend)は「広告費の回収率」を示す指標で、広告費用に対してどれくらいの売上が得られたかを算出できます。
<計算式> ROAS=広告経由の売上÷広告費×100 |
例えば、100万円の広告費で300万円の売上があった場合、300万円÷100万円×100=300%となり、広告費1円あたり3円の売上を獲得できていることがわかります。
別の例で150万円の広告費で120万円の売上となった場合、120万円÷150万円×100=80%となり、広告費1円あたりの売上は0.8円です。後者の例は広告費を回収できておらず、前者の例のほうがROASが高い、つまり費用対効果が高いことがわかります。
ROI
ROI(Return on Investment)は「投資利益率」を表す指標です。マーケティング施策などの投資金額に対してどれくらいの利益が得られたかを測定でき、数値が高いほど採算性が高いことを意味します。
<計算式> ROI=利益÷投資した費用×100 |
利益は、売上から原価や販管費、投資額を差し引いた金額です。例えば、原価100万円/販管費50万円の商品でマーケティング施策に200万円を投資し、1,000万円の売上を上げた場合、ROIは(1,000万円-100万円-50万円-200万円)÷200万円×100=375%となります。
投資金額に対して3.75倍の利益が得られたことになるため、費用対効果が高いと判断できます。
CAC
CAC(Customer Acquisition Cost)は「顧客獲得コスト」を意味し、「新規顧客を1件獲得するために要したトータルコスト」を算出できます。SaaSやサブスクリプション型のビジネスで用いられることが多く、費用対効果の高いマーケティングチャネルの選別や、ユニットエコノミクスの算出に役立ちます。
<計算式> CAC=顧客獲得に要した費用の合計÷新顧客獲得数 |
顧客獲得に要した費用には、マーケティングだけではなく営業の人件費や外注費などのコストも含みます。
CACは、1ヶ月/3ヶ月(四半期)/1年などの期間を設定したうえで算出します。例えば、1ヶ月にマーケティングや営業に合計100 万円かけて新規顧客を20件獲得した場合、その月のCACは5万円となります。CACがLTV(顧客生涯価値)を上回っている間は利益が発生しないため、費用対効果はLTVを算出したうえで判断します。
主要施策別の効果測定の指標
マーケティング活動全体の目標に対する各施策の貢献度は、施策ごとに設定する指標(KPI)をもとに測定します。
ここでは、主要なマーケティング施策の効果測定に用いるKPIを紹介します。
オウンドメディアの効果測定指標
オウンドメディアは短期間では効果が出づらい施策です。求めるべき成果はフェーズによって異なるため、段階的にKPIを設定したうえで効果を測定します。
<フェーズ別のKPIの例>
初期:サイト開設~1年 | ・記事の公開本数 ・PV数(ページ閲覧数) ・UU数(ユーザー数) |
中期:1年~1年半 | ・PV数 ・検索流入数 ・ページ滞在時間 ・サイト内回遊率 ・スクロール率 ・直帰率 ・離脱率 ・検索順位 |
後期:~2年 | ・重要ページ到達率(フォーム遷移率) ・CV数 ・CV率 |
Web広告の効果測定指標
Web広告の目的は、主に「認知拡大」「特定サイトへの誘導」「コンバージョンの獲得」の3つに分類できます。目的に応じて以下のようなKPIを設定し、効果を測定します。
<目的別のKPIの例>
認知拡大 | ・インプレッション数(広告の表示回数) ・インプレッション単価(広告表示1,000回あたりの広告費) ・リーチ数(広告が表示されたユーザー数) ・フリークエンシー(FQ)1ユーザーあたりの広告接触回数) |
特定サイトへの誘導 | ・クリック数 ・クリック率(CTR) ・クリック単価(CPC) |
コンバージョンの獲得 | ・CV数 ・CV率 ・顧客獲得単価(CPA) ・オーダー獲得単価(CPO) ・広告費の回収率(ROAS) |
展示会の効果測定指標
見込み顧客と直接接点をもつことができる展示会などのオフラインイベントでは、以下のようなKPIを設定して効果を測定します。
- 自社ブースへの訪問者数
- 名刺獲得数(リード獲得数)
- チラシやサンプルの配布数
- メディアへの掲載数
- 自社サイトの閲覧数
- SNSの拡散数
- アポイント獲得数(率)
- 商談化数(率)
- 受注数(率)
ウェビナーの効果測定指標
コロナ禍以降、多くの企業で実施機会が増えているウェビナーのKPIは以下の通りです。参加状況だけではなく、参加後の意識の変化がわかる指標も設定します。
- 申込数
- 参加数(率)
- アンケートの評価(満足度、商材への関心度合いなど)
- アポイント獲得数(率)
- 案件化数(率)
- 受注数(率)
インサイドセールスの効果測定指標
インサイドセールスのKPIは、ターゲット企業を選定したうえで戦略的にアプローチを展開する「アウトバウンド型(BDR)」と、獲得したリードを育成・選別して商談化を目指す「インバウンド型(SDR)」で異なります。
<KPIの例>
アウトバウンド型(BDR) | ・経営層やキーパーソンへのレター送付数 ・架電数・着電数 ・メール送信数 ・アポ獲得数 ・商談化数(率) ・受注数(率) ・受注金額 |
インバウンド型(SDR) | ・アクション数(架電数・メール送信数) ・メール到達数・開封率 ・通話時間 ・アポ獲得数 ・商談化数(率) ・受注数(率) ・受注金額 |
マス広告の効果測定指標
BtoB企業でも、テレビCMや新聞広告、雑誌広告などのマスメディアを活用するケースが増えています。マス広告の効果測定では、以下のようなKPIを設定します。
<媒体別のKPIの例>
テレビCM | ・GRP(Gross Rating Point:延べ視聴率) ・GAP(Gross Attention Point:延べ注視量) |
紙媒体(新聞広告や雑誌広告など) | ・反響率(問い合わせや資料請求など) ・CPR(Cost Per Response:レスポンス単価) ・CPO(Cost Per Order:オーダー獲得単価) |
マーケティングのKPIについては、以下の記事も参考にしてください。
マーケティングのKPI(指標)とは|KGI・KSFとの関係・KPIの種類と指標設定のやり方
マーケティングの効果測定に役立つツール
マーケティングの効果測定では様々な指標をフォローする必要がありますが、ITツールを活用すれば容易に測定することができます。
ここでは、マーケティングの効果測定に役立つツールを5種類ご紹介します。
アクセス解析ツール
アクセス解析ツールは、Webサイトを訪問したユーザーの属性や行動に関するデータを収集・分析するツールです。自社サイトへの流入状況や閲覧状況、コンバージョン状況などをリアルタイムに計測する機能が備わっており、KPIの達成度合いを簡単に把握することができます。
<取得できるデータの例>
- 訪問者数(サイト全体・ページ別)
- PV数
- 離脱率
- 直帰率
- 回遊率
- CV率
- 流入元
- ユーザー属性(性別・年代・地域など)
アクセス解析ツールの特徴や選び方が知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
アクセス解析ツールとは|アクセス解析サービスでわかること・機能一覧・導入メリット
アクセス解析ツール 12選|比較・選定ポイントとおすすめ「アクセス解析サービス」の特徴や活用事例
MAツール
MA(マーケティングオートメーション)ツールは、顧客の獲得から育成、成約までのマーケティング業務を自動化するツールです。顧客一人ひとりの特性に合わせたOne to oneマーケティングを実現する機能が充実しており、メールマガジンやキャンペーンなど各種施策の効果を測定できます。
<取得できるデータの例>
- 見込み顧客の属性情報(氏名、会社名、部署、役職など)
- 見込み顧客の行動履歴(閲覧ページ、流入元、滞在時間など)
- メールの配信状況(開封率、クリック率、CV率など)
- キャンペーンの状況(資料請求や問い合わせの件数など)
- アンケートの回答データ
MAツールの特徴や選び方が知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
MAツールとは|マーケティングオートメーションツールの実現できること・機能一覧・導入のメリット
MAツール 16選|比較・選定ポイントとおすすめ「マーケティングオートメーション」の特徴や活用事例
広告効果測定ツール
広告効果測定ツールは、Web広告の効果を測定・分析するツールです。リスティング広告やバナー広告、SNS広告など様々な広告のコンバージョン状況や費用対効果などを測定し、一元管理することができます。
<取得できるデータの例>
- インプレッション数
- クリック数
- CV率
- 契約数
- CPA
- アトリビューション(間接的な貢献度)
- ユーザーの属性情報(性別、年齢、使用端末など)
- ユーザーの広告接触状況(接触日時、媒体、流入元など)
広告効果測定ツールの特徴や選び方が知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
広告効果測定ツールとは|機能一覧・導入のメリット・実現できること
広告効果測定ツール 7選|比較・選定ポイントとおすすめ「広告運用自動化・管理ツール」の特徴や活用事例
CRM
CRMは、見込み顧客や既存顧客のあらゆる情報を一元管理するツールです。マーケティングを支援する機能が備わっているツールも多く、メールマガジンやキャンペーンの効果測定に役立ちます。
<取得できるデータの例>
- 顧客の属性情報(氏名、会社名、部署、メールアドレスなど)
- 顧客からの問い合わせ情報(日時、内容、結果)
- 案件の進捗状況
- 購買データ(購入数量、購入金額など)
- 収益データ(購入頻度、売上累計など)
CRMの特徴や選び方が知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
CRMとは|CRMツール・システムの機能一覧・導入メリット・実現できること
CRM43選|比較・選定ポイントとおすすめ「CRMツール・システム」の特徴や活用事例
メールマーケティングツール
メールマーケティングツールでは、顧客の獲得・育成やロイヤリティ向上などを目的としたメール施策を一元管理することができます。メールマガジンやステップメール、セグメントメールなどの作成・配信から効果測定まで完結できるため、PDCAの最適化につながります。
<取得できるデータの例>
- 到達率
- 開封率
- URLクリック率
- クリック後のCV率
- ABテストの結果
メールマーケティングツールの特徴や選び方が知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
メールマーケティングツールとは|機能一覧・導入のメリット・実現できること
メールマーケティングツール25選|比較・選定ポイントとおすすめサービスの特徴
各施策の効果を検証してPDCAを最適化しよう
マーケティングの効果測定では、主に「費用対効果」および「マーケティング目標に対する貢献度」の観点で各施策の有効性を評価します。費用対効果を見極める指標にはCPAやROAS、ROIなどがあり、経済性や採算性を数値化することができます。
また、マーケティング活動全体の目標は各施策の成果の積み上げによって達成されるため、一般的には施策ごとに指標(KPI)を設定したうえで効果を測定します。そうすれば、数値に基づいて施策の良し悪しを判断できるようになり、PDCAの最適化および成果向上につながります。
ただし、様々な施策のデータを手動で収集・測定すると膨大なマンパワーを要するため、効果測定を効率化できる各種ツールを活用することをおすすめします。
シーラベルでは、「マーケティングの効果測定」「施策ごとの指標(KPI)設定」にお困りの企業様を支援しています。