トークスクリプト作成方法|テレアポ、対面営業、展示会、場面ごとの例文で解説

「トークスクリプト」とは、顧客との会話の流れや内容を記載した、営業トークの台本です。トークスクリプトを用いることにより、社内で営業トークのノウハウを共有できるため、営業品質を安定させ、業務の効率化にもつながります。テレアポ、対面営業、展示会と、ゴールの違う場面ごとに最適なトークスクリプトの作成方法を例文と共に解説します。

トークスクリプトの役割とは

トークスクリプトの役割は、主に下記の3つがあげられます。

  • 営業トークのノウハウを共有する
  • 営業中のトラブルを予防する
  • 営業トークの分析をし、改善する

ひとつずつ見ていきましょう。

営業トークのノウハウを共有する

トークスクリプトが確立されていることで、社内で営業トークのノウハウが共有されます。そのため、経験や知識が不足している新入社員であっても、ベテランのノウハウに基づいた営業トークが展開できるので、新入社員育成のコスト削減にもつながります。また、営業品質の差が生じにくくなり、担当者が不在の場合でも対応しやすくなります。

営業中のトラブルを予防する

トークスクリプトを社内で共有することで、営業トークの基準が作られます。人によっては知識や経験がないため、適切な表現が出来ないこともあります。そのため、「同じ会社の人なのに言うことが変わって信用できない」と言われてしまうトラブルは起こりがちです。トークスクリプトという基準があることで、そうしたトラブルの予防につながります。

営業トークの分析をし、改善する

トークスクリプトを社内で共有し、多数の社員が実際に使うことで、顧客がどの言葉に反応したかなど分析がしやすくなり、さらに営業トークのノウハウが得られます。そうした分析を行いながら改善を繰り返し、営業ノウハウを蓄積していくことで、より効果的で円滑な営業活動につなげられます。

トークスクリプト作成の基本

トークスクリプト作成時に抑えておく基本的な考えは、以下の4点です。

  • 目的に合わせて作成
  • ペルソナに合わせて作成
  • 商談の流れを明確にする
  • 内容だけではなく、伝え方も記載する

ひとつずつ見ていきましょう。

目的に合わせて作成

何をゴールにしたトークスクリプトなのか、明確にして作成します。例えば、同じサービスや商品に関することでも、訪問するアポイントを取り付けたいのか、対面での商談成立を目指すのかで大きく内容は異なります。

ペルソナに合わせて作成

誰にむけたトークスクリプトなのか、ペルソナを意識することも重要です。商談を行う部署や相手の役職によって言葉の受け取り方は異なるので、相手に合わせた伝え方も考えます。

商談の流れを明確にする

新入社員であっても、読めば商談の流れがつかめるように作成します。話す順番はもちろん、予想される顧客の反応などが記載されていれば、自信を持って営業トークを展開できます。

内容だけではなく、伝え方も記載する

トークスクリプトには「何を言うか」だけではなく、「どのように伝えるか」という点も記載します。トークスクリプトをただ読むだけの棒読みでは、顧客の興味を引き出すことはできません。どの言葉を強調するのか、理解してもらえるようにゆっくり話すべき箇所はどこかなど、ニュアンスも重要です。

テレアポのトークスクリプト作成方法

電話を使ってアポイントを取るテレアポでは、多くの会社がトークスクリプトを作成しています。トークスクリプトの完成度を高めるために、流れと例文にそって作成時のポイントを紹介します。

【テレアポ】トークスクリプトの流れ

テレアポの基本的なトークスクリプトの流れは以下の通りです。

  1. 挨拶・自己紹介
  2. フロントトーク(導入)
  3. 本題
  4. クロージング

この流れにそって例文を紹介し、作成時のポイントを解説します。

【テレアポ】挨拶・自己紹介

テレアポでは、最初の挨拶の時点ですぐに電話を切られてしまうことも少なくありません。警戒されないことが大切です。そのため、以下のように挨拶がいかにも営業という感じを避けて、不信感を抱かれないように柔らかい印象になるよう心がけます。

悪い例文

  • お忙しいところ恐れ入ります。
  • 突然のお電話で失礼いたします。

自己紹介については、会社名と名前を丁寧に伝えます。また、それだけではなく、どのような商品やサービスを扱っているのかイメージできるように情報を加えるのがポイントです。さらに、可能であれば創業年数や実績、サービスや商品の魅力なども加えます。

良い例文

  • 効果的な集客につながる顧客管理システムを提供させていただいております、〇〇社の〇〇です。

【テレアポ】フロントトーク(導入)

フロントトークの目的は、具体的な商品やサービスの説明を行うのではなく、相手の興味を引きつけることです。ここで電話を切られてしまうことは少なくありません。そのため、その後に説明する商品やサービスにどのようなメリットがあるのかをまずここで伝え、話を聞いてみようという気持ちになってもらえるように工夫します。

また、メリットの部分は早口にならずに、ゆっくりと丁寧に伝えるといった注釈もつけておきます。

例文

この度、〇〇様にご案内したいお知らせがあり、お電話いたしました。弊社は〇月よりキャンペーンを行っており、〇〇を担当されている〇〇様ならご興味があるのではないかと考えて、お声がけさせていただきました。

【テレアポ】本題

フロントトークで相手の興味を引きつけられれば、本題はスムーズに話せます。本題では、具体的な商品やサービス、キャンペーンの内容、そのメリットを伝えます。ここでも、メリットの部分はゆっくりと丁寧に伝えます。また、質問するときは相手に悩みや課題を意識させる言葉を入れると、アポイントにつながりやすいです。

例文

今回ご案内します弊社の新しいサービス、〇〇を導入いただきますと、業務のコストを〇〇%削減することが可能です。〇〇様は日ごろの業務の中で〇〇についてお困りではありませんか?

【テレアポ】クロージング

最後にアポイントの日程を決めますが、この時、具体的な日時をこちらから提案するのがポイントです。「ご都合の良い日時はございますか」「来月だといつ頃よろしいでしょうか」といった感じで相手側にゆだねると、相手が面倒に感じてしまい、「今は予定が分からないのでまた連絡します」と言われてアポイントがとれないこともあります。

相手の購買意欲が薄れないようにできる限り早い日程で、選びやすいように日時の選択肢は少なくします。

例文

ありがとうございます。では、日程を決めさせていただきたいと思います。来週の火曜日、水曜日、どちらがよろしいでしょうか。

対面営業のトークスクリプト作成方法

対面営業においても、以下のような課題があります。

  • 話の進め方が分からない
  • 話の着地点を見失った
  • 肝心なことを伝え忘れた
  • 誤った提案をしてしまった

経験の少ない新入社員が、トークスクリプトのない状態で営業活動を行ってしまうと、このような失敗に陥ってしまいます。こうした失敗を避け、多くの営業担当者が同じような成果を得るためには、対面営業でもトークスクリプト作成は必要です。

【対面営業】トークスクリプトの流れ

対面営業の基本的なトークスクリプトの流れは以下の通りです。

  1. アイスブレイク
  2. ヒアリング
  3. 本題
  4. クロージング

この流れに沿って例文を紹介し、作成時のポイントを解説します。

【対面営業】アイスブレイク

アイスブレイクとは、初対面の相手と商談や会議を行う際に、緊張をほぐし、警戒心を解くために行うコミュニケーションのことを指します。本題に入る前の雑談のことですが、相手から好感をもってもらえるように、事前に話題を考えておくことが大切です。主な話題は以下の通りです。

  • 商談相手や業界の話題
  • 地域や立地の話題
  • プライベートの話題

プライベートの話題については、定番としてよく使われるのが、頭文字をとって「キドニタテカケシ衣食住」と言われている、「季節・気候、道楽・趣味、ニュース、旅、テレビ、家族、健康、仕事、衣服、食事、住居」です。盛り上がりやすい話題ですが、プライベートに踏み込みすぎると、場合によっては不快に思われてしまうので、さじ加減を意識する必要があります。

アイスブレイクの例文

  • 御社は先日新しいサービスをリリースされましたね。
  • 御社のある〇〇は、付近に新しいオフィスが多く、活気がありますね。
  • 〇〇様は、スポーツがお好きと伺いましたが…

【対面営業】ヒアリング

相手が解決したい課題を引き出すために、質問を行います。現在、過去、未来の順で質問していくと、課題が引き出しやすくなります。段階を踏んで、一番の問題点を洗い出し、望ましい未来を導きます。

営業の一環ではありますが、自分だけが話してしまわずに、ヒアリングでは相手を主体に話を進めていくことがポイントです。相手が考えている時の沈黙を恐れずに、興味をもって相手の話を聞きます。

【対面営業】本題

ヒアリングで抽出した課題を、自社のサービスや商品によってどのように解決するかをプレゼンします。内容はサービスや商品によって異なりますが、顧客がどの程度専門的な知識を持っているかを確認した上で、理解しやすいように言葉選びを工夫し、話すスピードが速すぎないように意識します。

本題導入部の例文

弊社のサービス〇〇では、〇〇様のように、〇〇業務のコストについてお悩みの企業様に対し、具体的な改善策を提案させていただいています。

【対面営業】クロージング

商品やサービスをプレゼンするだけではなく、今回の対面営業の着地点となるクロージング、締め方は重要です。プレゼンを聞いて多くの場合、相手は悩みます。そんな時に、納得させるために焦って畳みかけるように話してしまうと、逆効果になってしまうこともあります。そのため、以下のように相手に考える余地を与える手法がおすすめです。

  • テストクロージングで相手の意思を確認する
  • 成約後にどうなるかイメージさせる
  • 複数の選択肢を提示する

テストクロージングで相手の意思を確認する

サービスや商品に対して、どの程度相手が前向きにとらえているか、確認する問いかけがテストクロージングです。問いかけすることにより、前向きな気持ちを引き出す効果もあります。

例文

  • 今回ご説明したサービスはいかがでしょうか。
  • このサービスによって御社の課題は解決できそうでしょうか。
  • いくつかサービスを紹介しましたが、御社に適したものはどれでしょうか。

成約後にどうなるかイメージさせる

ヒアリング時点で顧客の課題を抽出していますが、そのことを踏まえて、成約後に課題を解決できた状態のイメージがわくように話します。そうすることで、相手の意思決定を後押しします。

例文

  • 成約いただきましたら、まず御社の課題である〇〇についての対策を進めましょう。
  • 導入後は、担当者より〇〇の対策について具体的な提案をさせていただきます。

複数の選択肢を提示する

商品やサービスを購入する際、「損をしたくない」という意識が働くものです。そこで、選択肢を示し、よりお得で、自社にあったものを選択できたと感じさせる手法を用います。3つ以上の選択肢を用意すると選びやすいため、効果的です。

例文

  • 導入後は、どのコースをご希望でしょうか。〇〇の場合は…
  • 〇〇様には、3つのプランをご用意しました。まず〇〇は…

展示会のトークスクリプト作成方法

展示会では、テレアポはもちろん、対面営業とも異なる営業のスキルが必要です。そのため、それらとは異なるトークスクリプトを用意します。

展示会の来場者は、自社以外のブースでもさまざまな説明を受けているため、情報過多になりがちです。そのため、最も伝えたいことを手短に伝えます。余計なところはそぎ落として、ターゲットに届きやすいトークスクリプトを作成します。

【展示会】トークスクリプトの流れ

展示会での基本的なトークスクリプトの流れは以下の通りです。

  1. 声かけ
  2. ヒアリング
  3. ブースにて製品やサービスの紹介
  4. 名刺交換、クロージング

【展示会】声かけ

自社の見込み客となる相手に興味をもってもらえるように、ブースでアピールしたい商品やサービスについて、短いキャッチフレーズを用意します。

例文

  • 〇〇でお困りの企業様の悩みを〇〇で解決いたします。
  • 〇〇に効果的な〇〇のご紹介です。

【展示会】ヒアリング

できるだけ多くの見込み客の獲得のために、ヒアリングも長すぎず、数分で行います。

例文

  • 〇〇についてお悩みではありませんか?
  • 〇〇対策は普段どうされていますか?

【展示会】ブースにて製品やサービスの紹介

ヒアリングをした結果、自社の製品やサービスがマッチする場合は、パンフレットや展示物を使って説明します。パンフレットや展示パネルの文字や図などが、トークスクリプト作成時に使いにくいと感じた時は、可能であれば修正します。

例文

  • パンフレットの図にありますように、弊社の〇〇によって、30%の改善が見込めます。
  • (パネルを示して)こちらが弊社で販売しております、〇〇でございます。

【展示会】名刺交換、クロージング

話が盛り上がったとしても、展示会ではあまり長時間引き止めずに、ある程度のところで名刺交換をしてクロージングします。

ブースに立ち寄ってくれた来場者との名刺交換は必須ですが、いきなり名刺交換を要求するのではぶしつけで、心証が良くありません。そこで、ヒアリングや説明後に反応を見た上で、名刺交換を申込みます。

例文

  • この度はお立ち寄りいただきありがとうございました。よろしければ、名刺を交換させていただけますでしょうか。
  • 本日はありがとうございました。私、〇〇株式会社の、〇〇部の〇〇です。(名刺を渡す)

場面に合わせた精度の高いトークスクリプトを作成しよう

今回は、テレアポ、対面営業、展示会と3通りのトークスクリプト作成方法について解説しました。こうした場面の違いだけでも、トークスクリプトの基本的な流れ自体が異なり、もちろん、内容も異なります。細かいニュアンスの違いまで分かるように作成することが大切です。

しかし、営業担当へ個別にヒアリングし、精度の高いトークスクリプトを作成し、営業ノウハウの仕組み化することは、自社のリソースとノウハウのみでは難しいこともあるでしょう。

  • 商材は魅力的なのに成果に結びついていない
  • 営業活動が営業マンごとにブラックボックス化している
  • 営業プロセスが管理されていないため、売り上げの見通しが立たない

このような課題の解決には、トークスクリプトの作成だけではなく、市場・競合の分析、営業組織の調査、営業フェーズの定義、営業プロセスの可視化など様々な専門的な施策が必要です。

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