近年、導入する企業が増えているマーケティングオートメーション(MA)ツール。市場には様々な仕様のMAツールが提供されており、自社に合ったツールの選び方がわからないという声も多く聞かれます。本記事では、BtoB向けのMAツールを比較選定するポイントや、おすすめのMAツールを7つご紹介します。
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BtoBのビジネスモデルの特徴
MAツールは「BtoC向け」と「BtoB向け」に大別され、それぞれのビジネス特性に対応した仕様となっています。MAツールの選び方を見ていく前に、まずはBtoBのビジネスモデルの特徴を確認しておきましょう。
BtoCと比べて扱うリード数が少ない
企業などの組織・団体をアプローチ対象とするBtoBは、エンドユーザーを対象とするBtoCと比べて扱う見込み顧客(リード)の数が少ない傾向があります。一般的にBtoCの見込み顧客が数十万~数百万に及ぶのに対し、BtoBでは数百~数万程度の規模です。
ターゲット母数に限りがあるからこそ、BtoBでは獲得したリードに対してきめ細やかなアプローチを行い、中長期的な視点で育成(ナーチャリング)しながら受注につなげることが重要です。
意思決定プロセスに関わる人数が多い
BtoCでは商品の比較検討から購入までの意思決定プロセスに関わる人数は少なく、個人または家族など数人で行うのが一般的です。一方、BtoBでは複数の部門・役職の人が意思決定プロセスに関わることが多く、商品・サービスの選定者と決裁者が異なることも少なくありません。
そのため、BtoBでは企業ごとの意思決定プロセスを把握したうえで、アプローチ方法を検討する必要があります。
検討期間が長期化する
決裁金額が高額かつ意思決定プロセスが複雑なBtoBでは、購入までの検討期間が長期化する傾向があります。BtoCのように即日~数週間で購入に至るケースはほとんどなく、商談が成立するまで数ヶ月~年単位の期間を要するのが一般的です。
検討期間が長期化することを考慮して、BtoBでは中長期に渡って顧客を管理し、適切なタイミングでアプローチしながら関係性を構築することが求められます。
BtoB向けのMAツールを比較するポイント
BtoBでは、前述のようなビジネス特性を踏まえてMAツールを選定する必要があります。
BtoB向けのMAツールを比較検討する主なポイントは以下です。
- 自社に必要な機能が備わっているか
- 価格は予算に合っているか
- 自社で使いこなせるか
- 適切なサポートが受けられるか
- 自社と類似した企業が導入しているか
ひとつずつ見ていきましょう。
自社に必要な機能が備わっているか
MAツールには、リード獲得・育成・選別といった一連のマーケティングプロセスに対応した機能が備わっています。強化されている機能は製品によって異なるため、自社の戦略や施策に合った仕様のものを選ぶ必要があります。
MAツールの主な機能をフェーズ別にまとめました。
◆リード獲得(リードジェネレーション機能)
広告管理 | Web広告を一元管理する機能。媒体別に見込み顧客の接触状況やクリック数、CV率などを把握できる |
ランディングページ作成 | 集客用のWebサイトや広告から流入した見込み顧客が最初に見るランディングページ(LP)を作成する |
フォーム作成 | 会員登録・申込み・アンケートなどの各種フォームを作成・設置する |
SNS連携 | SNSの自動投稿やシェアボタンの設置などを行う |
◆リード育成(リードナーチャリング機能)
メールマーケティング | HTML形式でのメール作成や、メールマガジン・ステップメールの自動配信、効果測定などを行う |
シナリオ設計/キャンペーン管理 | 購買に至るまでのリードの行動プロセスを想定したシナリオを設計・登録し、シナリオに沿って施策を自動的に運用する |
セグメンテーション機能 | リードを属性や行動履歴などで分類してリスト化する |
パーソナライズ機能 | 各リードの検討状況に応じて配信するコンテンツを出し分ける |
◆リード選別(リードクオリフィケーション機能)
スコアリング機能 | リードの属性や行動を点数化して受注確度を可視化する |
ホットリード抽出 | 受注確度の高いリードを抽出する |
◆顧客データ管理・分析機能
リード管理 | 様々なチャネルから収集したリード情報を一元管理する |
レポート・分析機能 | アクセス解析やトラッキング解析などでWeb上の行動履歴を追跡・分析し、レポートを自動作成する |
SFA/CRM連携機能 | 営業支援システムや顧客管理システムとMAのデータを連携させる |
BtoBでは、リードに対して継続的・長期的にアプローチしながら検討度合いを高め、有効商談数を向上させる必要があるため、とくにリードの育成・選別機能を重視するとよいでしょう。
価格は予算に合っているか
ほとんどのMAツールは月額制で、月数千円で利用できるものから月数十万円かかるものまであります。月額料金とは別に初期費用やオプション費がかかる場合もあるため、価格を比較する際はツールごとに費用の総額を確認することが大切です。
一般的に高額なツールほど多機能かつ高性能であることが多いですが、運用目的によってはオーバースペックとなり、必ずしも高額なものがよいとは限りません。とくにBtoBにおけるMAツールは長期間の利用が想定されるため、運用規模や求める性能と予算を照らし合わせたうえで無理なく継続利用できる価格帯のものを選びましょう。
自社で使いこなせるか
MAツールを駆使して様々な施策を展開するには、一定のマーケティングの知識やノウハウが必要です。自社のリテラシーに合わない高機能なツールを選定した場合、使いこなせないまま運用を諦めてしまうケースも多いので、自社のマーケティングレベルに合った仕様のものを選びましょう。
また、MAツールの運用にはマーケティングやインサイドセールスなど複数部門が関わるため、誰でも簡単に操作できることも大切なポイントです。無料トライアルやデモ版などで画面のデザインや仕様、操作性を確認したうえで選定することをおすすめします。
適切なサポートが受けられるか
社内にWebマーケティングやMA運用の知識をもつ人材がいない場合は、ベンダーのサポート体制を確認しておくことが重要です。MAツールは導入後すぐに運用を始められるわけではなく、施策内容に応じて様々な設定作業が発生します。ノウハウがないと初期段階で行き詰ってしまう可能性があるため、下記項目をチェックして適切なサポートが受けられるものを選びましょう。
- チャネル(メール、電話、チャット、FAQなど)
- サポートの範囲
- 対応可能な時間帯
- サポート料金の有無
また、外資系のツールでは日本語によるサポートが不十分なものもあるため注意が必要です。
ベンダーのサポートだけでは心もとない場合は、MAツールの導入・運用をプロ人材がサポートする外部サービスなどを活用するのも一案です。
自社と類似した企業が導入しているか
自社に合ったMAツールを見極めるには、実際の導入実績や事例もよい判断材料となります。業種・規模や課題が自社と類似している企業が有効活用しているツールであれば、自社でも運用できる可能性が高いです。ベンダーのHPでは導入企業や事例を掲載していることが多いので、他社の運用方法や成果を確認してみましょう。
BtoBに強いおすすめMAツール7選
数あるMAツールの中でもとくにBtoBに強く、効果的な運用が期待できるツールを7つピックアップしました。MAツールを選定する際の参考にしてください。
Hubspot Marketing Hub
HubSpot Marketing Hubは、インバウンドマーケティングに必要な機能を網羅的に備えたMAツールです。有料プランは月額5,400円~とリーズナブルな価格設定で、無料プランでもメールマーケティングやLP・フォーム作成、広告管理、トラフィック分析などを一通り行うことができます。Sales HubやCMS HubなどHubSpotの各ツールと組み合わせて活用すれば、より幅広く効果的な施策運用が可能になります。
<こんな企業におすすめ>
- インバウンドマーケティングを強化したい企業
- MAツールをスモールスタートで試してみたい企業
Adobe Marketo Engage
Adobe Marketo Engageは、AIによる学習・予測機能を搭載し、顧客との関係構築に役立つ機能が強化されたMAツールです。顧客体験に基づいたクロスチャネル施策の自動運用や、アカウントベースドマーケティング(ABM)の戦略設計・運用を行うことができ、焦点を絞ったマーケティング活動を展開できます。
<こんな企業におすすめ>
- 高度なアクションフローを実行したい企業
- アカウント(企業)単位でアプローチを最適化をしたい企業
List Finder
List Finderは、シンプルな仕様とわかりやすいUIが特徴の国産MAツールです。アクセス解析やメール配信、スコアリング設定など必要最小限の機能に絞られているため、高度な施策運用には不向きですが、専門的なノウハウがない企業でも活用しやすいです。導入後も半年間の運用サポートを受けることができます。
<こんな企業におすすめ>
- MA運用を手軽に始めたい企業
- 導入から運用まで一貫してサポートしてほしい企業
SHANON MARKETING PLATFORM
SHANON MARKETING PLATFORMは、リードの獲得から購買意欲の引き上げまで一気通貫で実施・管理できるMAツールです。オンラインだけではなくセミナーや展示会などオフラインの施策も一括管理することができ、各種イベントのフォーム作成や来場者・出展者管理、行動履歴管理などの機能でリードを効率的に管理・育成できます。
<こんな企業におすすめ>
- オフラインイベントが多い企業
- セミナーマーケティングを強化したい企業
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)は、セールスフォース・ドットコム社が提供するMAツールです。同社のCRM・SFA『Sales Cloud』と連携することで、パーソナライズされたアプローチを大規模に展開して質の高いリードを育成・案件化し、シームレスに営業へ引き継ぐことができます。ROI測定機能も強化されており、各施策の成果はいつでもダッシュボードで確認できます。
<こんな企業におすすめ>
- すでにSalesforceで顧客管理などを行っている企業
- マーケティングと営業の連携を強化したい企業
BowNow
BowNowは、「使いこなせるマーケティングオートメーションツール」をコンセプトに開発されたMAツールです。どんな企業でも運用できるように、複雑な設定が不要のシンプルな設計となっています。スコアリングやシナリオ設計を行わずにリードをステータス分類できる『ABMテンプレート』が特徴的です。
<こんな企業におすすめ>
- MA運用を手軽に始めたい企業
- 最小限のコスト・リソースでマーケティングを強化したい企業
SATORI
SATORIは、匿名リードとの接点を強化できる点を強みとした国産のMAツールです。顧客情報を入手していないリードに対してプッシュ通知やポップアップ機能で接点を創出し、行動履歴を追跡・蓄積できるため、アプローチ可能なターゲットの幅が広がります。
<こんな企業におすすめ>
- 問い合わせ前のリードにアプローチしたい企業
- 導入から運用まで一貫してサポートしてほしい企業
MAツール比較表
上記ツールの料金プランや導入実績などを一覧表にまとめました。
(情報は2023年1月時点)
初期費用 | 料金プラン(月額) | サポート | 導入実績 | 無料トライアル | |
Hubspot Marketing Hub | 0円 | ・無料プラン ・Starter 5,400円 ・Professional 96,000円 ・Enterprise 384,000円 |
メール、チャット、電話 | 15万8,000社以上(HubSpotの全ツールで) | あり |
Adobe Marketo Engage | 要問い合わせ | ・Select ・Prime ・Ultimate 料金は要問い合わせ |
オンライン、電話、ヘルプ動画など | 約5,000社 | なし |
List Finder | 10万円 | ・フリー 0円 ・ライト 39,800円 ・スタンダード 59,800円 ・プレミアム 79,800円 |
電話、メール、
定例ミーティング、活用セミナーなど |
1,600アカウント以上 | あり |
SHANON MARKETING PLATFORM | 要問い合わせ | 10万円~ 詳細は要問い合わせ |
電話、メール、専属マネージャーによる支援など | 900社以上 | なし |
Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot) | 0円 | ・Growth 15万円 ・Plus 30万円 ・Advanced 48万円 ・Premium 180万円 |
電話、チャット、コミュニティ、カスタマーサクセスなど | 不明 | あり |
BowNow | 要問い合わせ | ・フリー 0円 ・エントリー 12,000円 ・ライト 24,000円 ・スタンダード 36,000円 ・ビジネス 要問い合わせ |
1on1導入支援、テクニカルサポート、勉強会、動画など | 11,000社以上 | あり |
SATORI | 30万円 | 14万8,000円 | オンラインサポート、ハンズオンセミナー、個別ミーティングなど | 1,000社以上 | なし |
最適なMAツールでビジネスを推進しよう
MAツールを効果的に運用するには、自社のマーケティング・営業における課題に合った機能を備えたものを選定することが重要です。一般的に、BtoBでは意思決定プロセスが複雑かつ長期化する傾向があるため、獲得したリードを適切に管理しながら丁寧に育成・選別できるツールが適しています。また、MAツールは導入の初期段階でつまずくケースも少なくないため、自社の人的リソースやリテラシーを踏まえてサポート内容を比較することも大切です。
ここで紹介したポイントやおすすめツールを参考に、自社のビジネス拡大につながるMAツールを選定しましょう。
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