BtoBのCVを後押しするコンテンツとして、多くの企業がHPに導入事例を掲載しています。しかし、手間をかけて制作したものの、「そもそもPVが少なく、メリットを得られていない」という声も少なくないのが現状です。ここでは、導入事例コンテンツの効果に焦点をあてて、CVR向上に必要な取り組みやSEO効果との関係、効果を高めるための内容、活用範囲を広げる方法まで解説します。
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BtoB領域の鉄板コンテンツ「導入事例」
導入事例は、「購買行動において決断を促すコンテンツ」の役割を持っています。導入事例記事を制作するメリットは、大きく「CVRの向上」と「心理的な効果」に集約されます。
導入事例のメリット1:CVRの向上
導入事例のメリットとして、筆頭に挙げられるのがCVRの向上です。製品・サービスのスペックや活用するメリットはカタログ的に伝えることができますが、「導入を決断させる説得力」という点から見ると、それだけでは今ひとつ弱いのが実際のところです。
BtoCの場合、口コミやSNSなどから情報を得て商品の比較検討・共有が行われ、これが最終的な判断材料となるケースが多くなっています。BtoBでは、この役割を導入事例コンテンツが果たしているといってよいでしょう。
導入事例では、製品・サービスの価値が顧客視点から語られるため、導入を検討中の企業にとっては最終的な決断を下すうえで重要な情報源となります。また、第三者の評価である導入事例は、複数人が決裁に関わることの多いBtoBにおいて、スムーズな意思決定を助ける資料になるというメリットもあります。結果として、CVR向上の効果が期待できるのです。
導入事例のメリット2:ポジティブなハロー効果
ハロー効果は心理現象のひとつで、ある目立つ特徴に引っ張られて、他の部分への評価にも影響を及ぼす認知バイアスのことです。後光効果ともいいます。たとえば、TVCMに好感度の高いタレントを起用したり、HPや広告などのビジュアルでイメージを演出したりするのも、ポジティブなハロー効果を狙ったものです。
これと同様の効果が期待されるのが導入事例です。たとえば、知名度の高い企業が導入しているツールやシステムは、「信頼できそう」という印象が強くなります。多くの企業が導入しているサービスに対しては、「安心感がある」というイメージを持つでしょう。導入事例コンテンツには、この心理的な効果を狙えるというメリットがあります。
また、第三者からの情報によって信ぴょう性が増すことを「ウィンザー効果」といいます。「顧客の声」である導入事例には、ウィンザー効果がもたらされ、情報としての信頼性や信ぴょう性がプラスされるというメリットもあります。自社と同規模の企業が導入していたり、同じ課題を持つ企業が採用していたりする場合、これらの心理的効果も重なり「自社にも役立ちそう」という印象を持ちやすくなります。
BtoCでは口コミやレビューがこうした心理的効果に大きな影響を与えますが、BtoBの場合、この役割を担うのが導入事例コンテンツというわけです。
導入事例の効果を出すための指標とは
では、導入事例をCVR向上につなげるには、どのような取り組みが必要になるのでしょうか。ここでは、AIを活用したマーケティング分析を提供している株式会社WACULの調査データをもとに、導入事例の効果を出すための指標について見ていきます。
参照:SaaSを扱うB2Bサイトにおける事例紹介ページの改善策の提言(WACULテクノロジー&マーケティングラボ)
CVR向上につながる掲載件数
WACULでは、SaaS事業を行うBtoB企業を対象に、導入事例コンテンツを掲載することでCVRが向上するのかを調査しました。
これを見ると、導入事例が12件を超えているサイトにおいて、「事例ページ非経由CVR」よりも「事例ページ経由CVR」のほうが高いことが明らかになっています。この結果から、導入事例が少なすぎると、サイト訪問者に何らかの不安を与えている可能性や、導入を決断するための情報が足りないことが推察されます。
また、導入事例の掲載数によるCVR改善効果では、30件までは大きくなり、30件を超えると小さくなっていくという結果が出ています。同社ではこの現象について、30件以上の事例があれば「事例が少なすぎて不安」と感じる人の割合が減り、また、ある程度の業界やニーズに対応できていることが想定されるため、1件あたりのCVR改善効果は小さくなっていくと考察しています。
これらの結果を踏まえると、CVR効果を高めるには一定以上の件数を掲載するとともに、カバーしきれていない業界やニーズを洗い出して優先的に追加すべきといえます。
UI/UXとCVRとの関連
WACULが実施した同調査では、UI/UXとCVRとの関連についても明らかにしています。この調査から得られた結果は、次の通りです。
- 導入事例の紹介ページ内に「資料請求」の導線があるとCVRが高い
- 導入事例トップページで導入実績のアピールをしているサイトはCVRが高い(導入件数実績や業界内シェアなど)
- 導入事例トップページで業界やニーズ別の「検索機能」を置いているサイトはCVRが高い
また、導入事例を30件以上掲載しているサイトにおいてCVRが高いのは、上記の3つを満たしているということもわかりました。
これらの結果から、UI/UXの改善はCVR向上につながるといえます。また、ユーザーの利便性を高めるための導線や検索機能の強化、トップページのファーストビューをしっかり作りこむといった取り組みが有効であることがうかがえます。
導入事例とSEOとの関係
導入事例は自然流入でPVを伸ばすことは期待できないと考えるのが一般的ですが、例外となるケースもあります。ここでは、導入事例コンテンツの役割を踏まえつつ、SEOとの関係を見ていきます。
マーケティングファネルから見た導入事例の役割
マーケティングファネルとは、認知から購買に至るまでのプロセスの変化を体系的に表したものです。「認知→興味・関心→比較・検討→購入」と段階を踏むごとに対象者が減っていくことから、以下のような逆三角形(漏斗)の図が用いられます。
これをBtoBのターゲット顧客のプロセスに置き換えると、次の図のように整理できます。
この図からわかるように、導入事例コンテンツが果たす役割は「検討後期」にあるユーザーに対して購買を促すことです。したがって、そもそもバイネームを知らないユーザーへの認知拡大やリード獲得の効果は、ほぼ期待できないと考えるのが通常です。
導入事例で狙うべき「検索クエリ」とは
マーケティングファネルで整理すると、導入事例によるSEO効果はほとんど見込めないといえます。ただし、例外的に流入効果につながるケースもあります。
それは、検討前期にあるユーザーが自社の「課題」×「事例」「成功事例」というキーワードで検索した場合で、導入事例コンテンツがインデックスされる可能性があります。具体例として「社内コミュニケーション」の検索ボリュームを見てみましょう。
このように、「課題」となるキーワードに対して「事例」に関する検索ニーズが一定以上ある場合、課題を掘り下げた導入事例を制作することでSEO効果を上げることも可能といえます。自社が対策すべき検索クエリに「事例」がある場合は、SEOを意識して記事制作することも一案です。
導入事例のSEO対策に関してはこちらの記事も参考にしてください。
導入事例の効果を高めるコンテンツの内容とは
導入事例コンテンツの効果を高めるには、どのような内容を盛り込むべきなのでしょうか。ここでは、制作時に留意したい2つのポイントを紹介します。
事例制作のポイント1:読者が知りたいのは「成功のストーリー」
どのコンテンツにもいえることですが、「読者にとって有益な情報」を提供しなければ、次のアクションにはつながりません。このときに忘れてはならないのが、読者がどんな状態にあり、どのような情報を求めているかという点です。
さまざまな製品・サービスが乱立する現在、ベンダー側が提供する「宣伝文句」や「スペック」だけでは決断できないというのが顧客側の心理です。また、導入した場合の効果の有無や大小も、導入企業の状況によって異なるものです。
したがって、導入事例を読む読者は、「本当に正しい選択なのか」、あるいは自社が導入した場合に「本当に効果を得られるのか」を確認したい状態にあると想定されます。
企業が製品・サービスの導入を検討する際の背景にあるのは「解決したい課題」であり、導入事例に期待するのは、実際に導入した企業の「評価と成功体験」です。そのため、導入事例に求められるのは、導入先企業の“リアルな成功ストーリー” といえるのです。
導入先の企業がどのような課題を抱え、解決するためにどんな選択をしたのか。そして、その選択によって、どんな効果を得られたのか。導入事例には、この成功ストーリーが描かれていることが極めて重要となります。
この点を考えると、たんに導入実績をアピールするだけの事例や導入によるメリットをうたうだけの事例では、情報源として弱いことがわかるでしょう。導入事例を効果につなげるには、成功のノウハウが盛り込まれた、読者にとって有益なコンテンツに仕上げる必要があるのです。
事例制作のポイント2:導入企業が「選んだ理由」にこそプロダクトの本質がある
導入事例記事の中には、「before/after」の結果にのみ焦点をあてているケースがあります。しかし、読者が導入事例に求めるのは、その結果に至るまでの過程を含めたストーリーであり、そこに導入事例記事だからこその説得力や共感が生まれることを忘れてはなりません。
さらにいうと、導入における意思決定の背景は各社で大きく異なっているはずで、「なぜ、それを選んだのか」という導入の決め手には、プロダクトの本質的な強みが表現されることが多いのです。たとえば、機能面では他社との差別化が難しいものの、他サービスとの連携性が高く拡張性が決め手になったというケースもあれば、導入までのスピード感やアフターフォロー体制が評価されることもあるでしょう。
このように、導入事例コンテンツは顧客の意思決定プロセスを通じて、自社のプロダクトの強みを表現できる貴重な手段なのです。この点も念頭に置いて制作することが効果アップのポイントとなります。
導入事例の書き方に関してはこちらの記事も参考にしてください。
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導入事例を「認知フェーズ~リード獲得」に活用する方法とは
ここまでは、導入事例コンテンツは検討後期段階のユーザーには有効であるものの、「認知~リード獲得」のフェーズでは効果を発揮しにくいことを説明してきました。しかし、現在は、活用の仕方によってはリーチ拡大を狙うことも可能になっています。具体的な方法を2つ紹介しましょう。
SNSの活用
導入事例をFacebookなどのSNS広告を利用して広げるという方法です。事例の業界・業種の特性、地域などからうまくターゲティングすることで、リード獲得につなげる効果が期待できます。導入企業やインタビュイーの知名度によっては、高い集客効果を得られる可能性もあります。
また、最近では導入事例動画を制作して、SNS広告やYouTube、ランディングページなどさまざまなチャネルで活用する企業も増えつつあります。導入事例コンテンツならではの信ぴょう性や説得力を活かしつつ、活用シーンを増やしていくのも今後は展開のポイントになるといえるでしょう。
DX事例プラットフォーム『シーラベル』の活用
DX事例プラットフォーム『シーラベル』は、さまざまな検索軸から自社の課題解決ができる事例を探せるサービスです。
「テレワーク・生産性向上」「マーケティング」「営業・カスタマーサクセス」などの課題・目的から導入事例を探せるほか、導入先企業の業種・規模などから事例検索することも可能です。たとえば、「自社と同規模で同じ課題を持つ企業ではどんなツールを使っているのか?」といった検索もできます。
『シーラベル』の大きな特徴は、ユーザーが製品・サービスのバイネームを知らなくても、複数の導入事例の中から自社にぴったりのソリューションを探し出せるという点です。
一方のサービス提供企業側にとっては、これまで自社のHP内だけで展開していた導入事例を『シーラベル』に掲載することで、ターゲット顧客への認知拡大やリード獲得が可能になるというメリットがあります。
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