営業資料のデザイン原則|よくあるNG例と訴求力を高める8つのポイント

顧客の心をつかむ営業資料は、レイアウトや配色などのデザインにも配慮が行き届いています。資料作成におけるデザインの基本原則を知ることで、見やすく・わかりやすい営業資料を作成することが可能です。本記事では、営業資料におけるデザインの役割やNG例、訴求力を高めるポイントを解説します。

営業資料におけるデザインの役割・重要性

営業資料は、案件獲得や受注につなげるための重要なツールです。顧客の興味関心を喚起して成果を上げるには、資料の内容だけではなくデザインにも気を配る必要があります。

なぜデザインが重要なのか。まずは、営業資料におけるデザインの役割や重要性について説明します。

デザイン=訴求力を高める手段

営業資料におけるデザインの役割は、資料の訴求力を高めることです。デザインと聞くと「資料をセンス良く装飾する」「見た目をおしゃれにする」イメージがあるかもしれませんが、単に見栄えを整えるだけでは意味がありません。

そもそも、優れた営業資料の特徴は大きく2つあります。

  • 顧客が知りたい情報が記載されている
  • 見やすい・わかりやすい

前者は資料の内容のことです。顧客の検討状況や関心事に合わせたストーリー構成で、社内稟議に必要な情報まで記載されていれば優れた営業資料といえます。

後者は、記載されている情報をすぐに認識・理解できるかという「視認性」についてです。営業資料の視認性の良し悪しは、以下に挙げるデザイン要素が大きく影響します。

営業資料の主なデザイン要素

  • 文字(フォントの種類・サイズ)
  • 配色
  • レイアウト(各要素の配置)
  • 図形(矢印や枠囲みなど)
  • グラフ
  • イラスト
  • 画像

内容が完璧でも、全くデザインされていない資料は見づらく、相手にストレスを与えてしまいます。上記のようなデザイン要素を活用し、資料を視覚的にもわかりやすく整えることで、訴求力が格段にアップします。

オンライン商談で重要性が増す営業資料

近年はリモートワークが定着しつつあり、商談のオンライン化も進んでいます。オンライン商談では資料を画面に大きく表示させたまま説明することが多いため、必然的に相手の目線は資料に集中します。

対面商談であれば、相手の表情や反応を見ながら臨機応変に営業トークを展開することが可能です。しかし、資料が軸となるオンライン商談では相手の反応を見極めることが難しい上、担当者のトークや熱意も画面越しでは伝わりづらいものです。そのため、オンライン商談における営業資料は対面商談以上に重要であり、見やすくわかりやすい資料作りを心がける必要があります。

営業資料の作成方法については、以下の記事も参考にしてください。
営業資料で成約率を上げるには?|構成や作り方について5つのポイントを解説

視認性の高い営業資料を作成するメリット

デザインに配慮して営業資料の視認性を高めると、以下のようなメリットが期待できます。

興味をもってもらえる

記載内容が同じでも、ごちゃごちゃして見づらい資料より、きちんとデザインされた資料のほうが興味をもって見てもらえます。視認性が低い場合、資料に目を通す意欲を削いでしまいますが、デザインが整っていれば最終ページまで相手の集中力をキープすることが可能です。

ポイントが伝わる

視認性が高い資料は、初見でもスムーズに情報が入ってくるため、資料の要点を理解してもらいやすいです。顧客の関心を高める上で、限られた時間でしっかりと訴求できることは大きなメリットです。

好印象を与えられる

営業資料は商品・サービスの評価だけではなく、会社や営業担当者の印象を左右します。雑にレイアウトされた営業資料を使っていると「仕事も雑かもしれない」と思われる可能性がありますが、見やすくデザインされた資料であれば「丁寧に対応してくれそう」「信頼できそう」など、好ましい印象を与えることができます。

要チェック!顧客にストレスを与える営業資料のNGデザイン例

デザインに問題がある営業資料にはどのような特徴があるのでしょうか。

本章では、顧客にストレスを与えてしまうNGデザイン例を5つ紹介します。自社の営業資料が該当していないか、確認してみましょう。

NG例①メリハリがない

文字の大きさや太さ、色にメリハリがない資料は訴求ポイントが不明瞭で、じっくり読まないと内容を把握することができません。多くの場合、営業活動のターゲットは自社に対する認知・関心がまだ低い見込み顧客です。そのような相手にメリハリのない資料を提示すると、興味を喚起することが難しいばかりか、マイナスイメージを与えてしまうこともあります。

また、営業資料は上司や決裁者など社内関係者に回覧されることがあります。要点がわかりづらいと目を通してもらえない可能性があるため、流し読みでもポイントがつかめるよう、見出しや重要な情報を強調することが大切です。

NG例②色や強調箇所が多い

反対に、色や強調箇所が多すぎるのもNGです。訴求したい情報が整理されていない資料にありがちですが、1ページに何色も使っていたり、太字やマーカーであちこち強調していたりする資料は大変見づらく、かえって情報が埋もれてしまいます。ごちゃごちゃした印象の資料は相手に負担を与えてしまうため、過度な強調・装飾は控えましょう。

NG例③ページの情報量が多すぎる

ページ構成や各ページのレイアウトに関わる部分ですが、1ページに多くの情報を詰め込んでいる資料もNGです。例えば、「サービスの種類」と「サービスを利用する流れ」が同じページに記載されていると、視線がウロウロして意識が双方に向いてしまい、読み手の集中力を削いでしまいます。

性質(テーマ)が異なる複数の情報を、初見で同時に把握するのは難しいものです。全体のページ数を少なく抑えるために、1ページあたりの情報量を増やすのもひとつの方法ですが、複数のテーマを1ページに詰め込まないよう注意しましょう。

NG例④デザインの主張が強い

「画像や装飾が目立ちすぎている」「背景のデザインで文字が見づらい」など、営業資料におけるデザインの意味をはき違えてしまっているケースも散見されます。デザインが主役になってしまうと肝心の情報が埋もれてしまい、本末転倒です。営業資料のデザインは、あくまでも情報をわかりやすく伝えるための一手段であることを理解しておきましょう。

NG例⑤デザインに一貫性がない

デザインに一貫性がない資料は、視認性を低下させてしまいます。具体例を以下に挙げます。

  • 複数のフォントを使用している
  • 見出しや説明文の文字の大きさがページによって異なる
  • ページによって色づかいがバラバラ
  • 情報の配置方法や余白が揃っていない
  • イラストや写真のテイストが揃っていない

ページごとにデザインを変えてしまうと資料全体にチグハグな印象が生まれ、ひとまとまりのストーリーとして認識しづらくなってしまいます。資料の流れを阻害しないよう、あらかじめデザインのルールを決めておくことが重要です。

訴求力を高める営業資料のデザイン8つのポイント

営業資料の訴求力を高めるには、どのようにデザインすればいいのでしょうか。
ここでは、効果的なポイントを8つ紹介します。

ポイント①原則は「1ページ1テーマ」

NG例でも紹介したように、1ページに複数のテーマが混在していると訴求力が低下してしまいます。そのため、営業資料を作成する際は「1ページ1テーマ」を意識しましょう。「サービスの特徴」「サービスの流れ」「料金体系」など、ページごとに訴求内容が絞られているほうが、情報のインパクトが強くなります。

また、サービスの特徴が3つあるなど、1つのテーマで伝えたい要素が複数ある場合は、「特徴①」「特徴②」「特徴③」のように要素ごとにページを分割しましょう。

ポイント②グラフや画像を盛り込む

営業資料にグラフや画像などの視覚情報を盛り込むと、訴求力が格段にアップします。例えば、業績の推移は文章で説明することも可能ですが、しっかり読まないと内容を把握することができません。その点、グラフ化すれば一目で理解できます。

テキストだけで情報が羅列されている資料は、理解に時間を要する上、読み手を疲れさせてしまいます。イメージしづらい内容については、グラフや画像で視覚的に訴求することでスムーズに理解してもらうことが可能です。

ポイント③見やすいフォントに統一する

営業資料に用いるフォントは原則1種類です。複数のフォントが混在していると視認性が低くなるため、特定のフォントに統一しましょう。

フォントの種類は数多くありますが、選定のポイントは以下の通りです。

  • 視認性:クセがなく一目で読み取りやすい
  • 互換性:各端末で同じ見た目で表示される
  • 太字(ボールド)がわかりやすい

上記を満たしており、営業資料やプレゼン資料でよく用いられるのはメイリオです。通常の文字と太字とのコントラストがはっきりしているため、強調箇所がわかりやすく、メリハリのある資料を作成できます。デバイス間の互換性も高いため、迷ったらメイリオを選びましょう。

メイリオ以外では、「游ゴシック」「MeiryoUI」「ヒラギノ角ゴシック」もおすすめです。明朝体はフォーマルなビジネス文書に適していますが、他のフォントと比べると細く、PCの画面では見づらいことがあるため営業資料には不向きです。

ポイント④文字のサイズを統一する

資料全体を通して文字のサイズが揃っていると、スムーズに読み進めることができます。ページごとに文字サイズを変えるのではなく、「見出しは〇pt」「リード文は〇pt」「本文は〇pt」などのルールを決めておきましょう。

営業資料に適した文字のサイズはシチュエーションによって異なります。例えば、対面商談で紙の資料を配布する場合の目安は以下の通りです。

対面商談の場合

  • 見出し(タイトル)  :20~22pt
  • リード文(メッセージ):16~18pt
  • 本文(説明文)    :12~16pt
  • その他(注釈など)  :10pt以下

オンライン商談が多い場合は、相手の端末サイズを考慮して調整しましょう。また、会議室などでのプレゼンテーションが想定される場合は、後方からもよく見えるように、上記より大きめの文字サイズにする必要があります。文字サイズを大きくすると1ページあたりの適切な情報量も変わってくるため、主に対面商談で用いる営業資料とプレゼン資料は分けて作成することをおすすめします。

ポイント⑤視線の流れを意識する

各ページのレイアウトは、人の視線の流れに合わせることがポイントです。日本語の横書きの資料を見るとき、人の視線は左上を起点に「Z」や「F」のように流れていきます。

視線の流れ

視線の流れに沿うように文章や画像を配置すれば、読み手の視線がストーリー通りに誘導され、効果的に訴求することができます。視線を行ったり来たりさせるようなレイアウトにしないよう注意しましょう。

ポイント⑥使用する色は3色以内に絞る

営業資料に用いる色は、背景の白を除いて3色以内に絞りましょう。すっきりと見やすくなりますし、強調したいポイントが伝わりやすくなります。

配色は、ベースとなる「背景」、最も多く使用する「メインカラー」、強調箇所などに用いる「アクセントカラー」の3つに分けて考えます。具体例を以下に挙げます。

配色の例

  • 背景      :白
  • 文字の色    :黒または濃いグレー
  • メインカラー  :コーポレートカラーやブランドカラー
  • アクセントカラー:メインカラーと相性がいい色

配色のバランスについては、背景が70%、メインカラー25%、アクセントカラー5%が目安です。さらに色を加えたい場合は、メインカラーの彩度を変えた色や、薄いグレーなどであれば資料全体の統一感のある色調を損ないません。

ポイント⑦適度に余白をとる

余白が少ない資料は圧迫感があって読みづらいため、資料全体を通して適度に余白をとりましょう。

具体的には、以下の箇所に余白があると視認性が高まります。

  • 各ページの上下左右の余白
  • 要素間の余白
  • 枠とテキストの間の余白

要素間の余白のとり方は、各要素の関係性によって調整します。例えば、「リード文」と「本文」の間の余白は大きめにとる、「画像A」と「画像Aの説明文」の間の余白は小さくする、などです。

また、文章を枠で囲んだり図形に文字を入れたりする場合も、窮屈にならないように余白をとりましょう。

ポイント⑧各要素を整列させる

資料に誤字脱字があると、そのことに一瞬意識が向いて集中が妨げられませんか。それと同様に、各要素の位置がズレていたり、テキスト要素の端が揃っていなかったりすると相手の意識が逸れやすいため、各要素を整列させましょう。

PowerPointやGoogleスライドのガイドライン機能や配置機能を活用すれば、各要素の配置をきれいに整えることができます。

自社の営業資料に課題を感じている方は「シーラベル」へ

初見でもわかりやすい営業資料を作成するには、内容だけではなくデザインにも気を配ることが重要です。視認性が高い営業資料は訴求ポイントが明瞭で理解を促しやすく、自社に対して好印象を与えることも可能です。

とはいえ、内容・デザイン共に質の高い営業資料を作成するには、一定のリソースやスキルが必要です。営業資料の作成について、「自社の強み・特徴をうまく整理できない」「どのように構成・レイアウトすればいいかわからない」「デザインスキルに自信がない」といったお悩みがある場合は、シーラベルにお気軽にご相談ください。

当社では、BtoBビジネスに精通したコンサルタントを軸にデザイナー、ライターでチームを組み、お客様のビジネスの魅力が伝わる営業資料作成を伴走支援いたします。

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