SFAは、営業活動における様々な課題を解決するツールです。業種・規模を問わず導入している企業が多いツールですが、一方でうまく活用できていない失敗例も少なくありません。本記事ではSFA導入の目的と効果・メリットを整理するとともに、導入・運用でつまずかないためのポイントと成功事例まで解説します。
シーラベルでは、「SFAの導入・運用」にお困りの企業様を支援しています。
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SFA導入の目的とは
SFA(Sales Force Automation)は、一連の営業プロセスにおける情報を一元管理・共有・分析できるツールです。ベンダーによって搭載されている機能には幅がありますが、一般的な基本機能は以下の通りです。
- 顧客管理機能:顧客にまつわる情報を管理
- 案件管理機能:案件の進捗や受注確度を管理
- 商談管理機能:商談内容や進捗を管理
- 行動管理機能:営業担当ごとの日々の行動を管理
- 予実管理機能:売上予測と売上実績のデータ化・分析
SFAの導入目的は大きく3つに整理できます。役立つ機能例とあわせて見ていきましょう。
営業活動の可視化による生産性向上・売上拡大
SFA導入の目的として多いのが、営業活動の可視化による生産性向上と売上拡大です。従来の営業活動では、個々の営業担当がどのようなプロセスを踏んで受注しているのか、または失注してしまうのかを知るためには、日報・週報などを用いるのが一般的でした。
しかし、この方法では適切なタイミングでフォローができていない場合や、逆に無駄な動きが多くなっている場合など、営業活動のロスを把握するのに時間がかかり対策が後手に回ってしまうという課題があります。SFAを導入することで、リード(見込み客)の獲得から商談、クロージングまでのプロセスが可視化され、効率的な営業活動を実現できるようになります。
SFAで可視化できる情報の例を見てみましょう。
- 各案件の進捗はどのような状況になっているのか
- どのような内容の商談をしているのか
- 個々の営業担当が何にどれくらいの時間を割いているのか
たとえば、安定的に売上を伸ばしている営業と売上が伸びない営業の行動や商談内容をデータ化して比較すれば、自社のベストプラクティスを見つけることができます。SFAは生産性向上・売上拡大につながる情報を簡便かつリアルタイムに把握できるツールであり、大きな導入目的となっています。
ノウハウの蓄積・共有による営業活動の標準化
営業活動は属人化しやすい傾向があり、「新人が育たない」「営業担当が変わると売上が落ちる」「引き継ぎがうまくいかない」といった問題が起こりがちです。どのようなビジネス環境においても柔軟に対応できる強い組織を作る上で、ノウハウの蓄積とスムーズな共有、営業活動の標準化は多くの企業が抱える悩みであり、SFAの導入によって解決したいことの一つでしょう。
SFAには個々の営業担当の活動内容や顧客からヒアリングした情報が蓄積されるため、ノウハウの共有をスムーズに行えます。
- 顧客の予算や決裁ルート、キーパーソン、競合他社などの情報
- 顧客との接触回数や商談までのプロセス
- 顧客に提案した内容や提出した資料・見積もり
これらの情報を参考にすることで、個々の営業担当が持っているスキル・ナレッジの共有が進み、経験値によらず部門全体で均質的な営業活動を行えるようになります。
営業データの一元管理によるマネジメント力強化
営業組織のマネジメントでは目標管理が必須であり、売上が増減している要因についても的確に把握して次の戦略に活かすことが重要になります。また、報告書にまとめて会議などで説明しなければならない場面もあるでしょう。
従来の日報・週報などからピックアップしてExcelで集計・管理するというやり方では、手間と時間がかかる上に、営業担当ごとの報告内容にばらつきがあると要因分析ができないという課題があります。SFAでは営業データの一元管理ができるため、マネジメント力を強化する目的で導入されるケースも多くなっています。
- 営業担当は定型フォームに入力するため報告内容のばらつきを抑えられる
- 営業担当別・顧客の属性別などのデータから失注要因の分析が可能
- 売上予測と実績管理をリアルタイムで行えるため、早期に活動内容の軌道修正を行える
- 自動集計・グラフ化・レポートなどの機能を備えたものもあり報告資料作成を効率化
また、「長期間放置している重要顧客が存在する」「値引き率が高すぎる顧客が存在する」などのイレギュラーケースも見つけやすいため、大きなトラブルになる前に対処できるようになります。
SFA導入による効果・メリット
SFAの導入によって得られる効果・メリットは、大きく次の3つです。
営業戦略の精度向上
これまでの現場経験による勘や感覚を頼りに戦略を立てたり、判断したりするマネジメント層も多いのではないでしょうか。SFAには顧客に関する情報や営業プロセスにおける情報、実績などが集約されるため、様々な角度からのデータ分析が可能です。
市場動向や顧客の直近の傾向、組織の状況をリアルタイムで把握できるようになり、データに基づいた精度の高い営業戦略の策定に役立てることができます。また、戦略の根拠や目標達成までの道筋が明瞭になることで、チームにおける牽引力や推進力を高められるというメリットも期待できます。
営業の育成コストを最適化
従来の営業組織では先輩社員との営業同行によるOJTでスキルを学んだり、研修などのOFF-JTで知識を身につけたりするケースが多いでしょう。営業力を高める上ではどちらも有効な手法ですが、一方で「育成に時間がかかる」「先輩社員の負担が大きくなりがち」「指導する先輩社員のスキルによってばらつきが生じる」といった問題点もあります。
SFAを導入すれば、たとえば「顧客にヒアリングすべき項目は?」「効果的な提案の流れは?」「どのタイミングでどんな資料を提出すればいいのか?」といったノウハウ・スキルを偏りなく共有できるため、育成スピードの向上が期待できます。結果として、育成コストの最適化を図りやすくなります。
顧客満足度向上による売上増
どれだけ優れた製品・サービスであっても、顧客のニーズに即していなければ価値を提供できません。SFAによって営業活動が標準化され、顧客の課題に対する提案力・解決力が高い組織に成長できれば、顧客満足度の向上につながります。
また、SFAは部門間の連携にも優れたツールです。マーケティング部門やカスタマーサポート部門などとの情報共有が円滑になることで、リード獲得・育成〜商談・受注〜アフターサービスの一連の接点における顧客体験の向上に役立てることができます。
リピート率やアップセル・クロスセルの数値が上がればLTV(Life Time Value)が高まり、売上や収益性が向上します。顧客と良好な関係を築く上でも、メリットの大きいツールといえるのです。
SFAの導入でよくある失敗例と対策
SFAは多様な機能を備えて営業活動を支援してくれるツールですが、「うまく活用できない」という声も少なくないのが実際です。よくある3つの失敗ケースと対策を見ていきましょう。
導入の目的が定まっていない
SFAを活用する目的が曖昧な状態で導入を進めてしまうと、「導入したのに効果がない」という失敗をしがちです。SFAを導入すれば営業活動が万事うまくいくわけではなく、自社の課題に即した使い方や仕組みを構築することで、初めて有効活用できるシステムであることを理解しておく必要があります。
まずは自社の現状の課題を整理し、SFAの導入目的を明確にしておくことが重要です。
営業現場の理解を得られていない
SFAの導入に際して、営業現場の理解を得られずに混乱が起きたり反発の声が上がったりする失敗例もあります。そのまま強行すると、活用が進まなくなる上にパフォーマンス低下を招く可能性があるため注意しなければなりません。
こうした事態を避けるには、事前に説明会などの場を設けて導入目的と意義をしっかり説明することが重要になります。SFAは営業担当にとってもメリットの多いツールである点も伝え、納得感を醸成した上で導入を進めることが大切です。
また、SFAでは様々な情報を管理できるため、あれもこれもと入力項目を増やしてしまいがちです。営業の効率化を目指すはずが、逆に営業担当の負荷を大きくしてしまうことにならないよう注意しましょう。SFAの導入目的や期待する成果、分析に必要な項目などを踏まえて整理することが失敗を避けるコツです。
SFAの運用体制が整っていない
SFAの運用体制が整っていないために「データ入力が滞る」「営業担当によって入力内容にばらつきがある」「データ分析ができない」などの事態に陥り、活用が定着しないという失敗ケースも多く見られます。
SFAは情報が蓄積されることで効力を発揮するため、「いつ・誰が・どの情報を・どこに・どのように」入力するのか、また、何の用途でどのように分析するのかといったルールやフローが不明瞭なままでは運用がうまくいきません。
こうした失敗を避けるには、入力方法をルール化するとともに、SFAの責任者や問い合わせ窓口などを事前に決めておくことが有効です。関係する部署の担当者で編成したプロジェクトチームを立ち上げて推進するのも良い方法です。
SFAの導入・運用を成功させるためのポイント
SFAの導入・運用に際して留意しておきたいポイントを見ていきましょう。
SFA導入に向けた事前準備を入念に行う
失敗例からもわかるように、SFAの導入・運用では事前準備が極めて重要です。営業にとっては、これまで慣れ親しんだプロセスが改革されることになるため、導入時の混乱を避ける上でも入念な計画が必要になります。また、一般的にはSFAが組織に定着するまでの期間として短くても3カ月程度見ておく必要があるため、余裕を持った導入スケジュールを立てることも重要です。
導入準備は以下の点を明確にした上で進めましょう。
- プロジェクトチームの編成および役割分担の決定
- 導入の全体スケジュールを策定
- SFAの運用ルール・フローを策定
- 収集する情報とデータ分析の活用方法を決定
- 社内説明の方法・スケジュールを決定
自社にとって使い勝手がよいSFAを選定する
SFAは日々の業務に活用するシステムのため、使い勝手の良さは重要なポイントです。多機能なSFAであっても、使いこなせなければ組織に定着しません。とくにITリテラシーにおいて不安がある場合は、操作性について重点的にチェックしておきましょう。
無料トライアルを用意しているベンダーが多いので、現場の社員や関連部署の社員など複数名に試用してもらい、使用感や画面の見やすさなどを確認しておくと失敗がありません。
このほか、SFA選定時の比較検討ポイントを以下に整理したので参考にしてください。
- 導入目的に沿った機能を備えているか
- 自社と同等の規模感の企業や、似た課題を持つ企業の導入実績が豊富か
- PC・スマートフォン・タブレットからの入力が可能か
- MAやCRMなど、すでに自社が導入している外部ツールとの連携性があるか
- 高い水準のセキュリティ対策が取られているか
- 自社のワークフローに合わせてカスタマイズしたい場合、対応できるか
サポート体制を確認する
SFAの導入時はもとより、運用する中で不明点が出てきたりトラブルが起きたりする可能性もあるため、ベンダーのサポート体制は必ず確認しておきましょう。また、サポート体制の充実度はベンダーによって差が生じやすい部分でもあります。以下の点を事前に確認しておくと安心です。
- 操作マニュアルを提供してくれるか
- 活用ノウハウなど役立つ情報の提供があるか
- 導入時だけでなく、運用中も引き続きサポートしてくれるか
- トラブルが発生した場合にスピーディに対応してくれるか
- サポート内容における有償・無償の範囲はどこまでか
SFAを導入した企業の成功事例
SFAの導入によって成果を上げている企業の事例をDX事例プラットフォーム『シーラベル』の中からピックアップして紹介します。
株式会社ハウテレビジョン
新卒採用プラットフォーム『外資就活ドットコム』や中途採用プラットフォーム『Liiga(リーガ)』を運営している株式会社ハウテレビジョンでは、営業の訪問履歴や受注実績を管理するシートが多数存在し、管理者側・営業担当側の双方に非効率を生んでいることに課題感を持っていました。
そこで、クラウド型営業支援ツール『Senses(センシーズ)』の導入に踏み切ります。選定時に重視したのはカスタマイズが簡単にできる点と、管理者目線ではなく営業担当が利用したくなるツールであることです。導入後はPDCAが効率化され、受注数増加という成果を得られています。また、営業担当の意識が高まったことで、質の高い情報を蓄積できるようになりました。
参照:DX事例プラットフォーム『シーラベル』|SFA導入は早い方が良い理由とは?PDCAを回した案件から続々受注。そして全社展開へ。
リバーホールディングス株式会社
リバーホールディングス株式会社は廃棄物処理・資源リサイクルを行う総合リサイクルファームで、創業100年を超える歴史ある企業です。7社のグループ会社があり各地域に複数の拠点・工場を持つ同社では、名刺管理や顧客情報の管理において課題を抱えていました。
以前にSFAを導入したものの、入力項目が細かすぎて現場への定着がうまくいかなかった経験から、ダッシュボードの見やすさや操作画面のシンプルさを重視し、名刺管理・営業支援ツール『ホットプロファイル』を選定しました。導入後は、外出先からも即座に最新の顧客情報を確認できるようになり、営業活動の精度が向上しています。また、顧客情報を管理するだけでなく、蓄積された情報をデータとして有効活用できるようになりました。
参照:DX事例プラットフォーム『シーラベル』|創業100年を超える「鉄スクラップ・廃棄物処理の老舗」が挑む、 営業のデジタル化。
SFAを営業活動の基盤として定着させて自社の可能性を広げよう
SFAは営業プロセスの可視化や様々な角度からのデータ分析によって、営業組織が抱える多くの問題を解決できる優れたツールです。しかし、導入したものの失敗に終わるケースが少なくないのも実際です。SFAを営業活動の基盤として定着させるためには、導入・運用におけるポイントをしっかり押さえておくことが重要です。
一度は導入したものの失敗した経験があるという場合も、あらためて導入目的と目指す成果を見直すことで、有効活用の道筋が見えてくることがあります。ぜひ本記事をお役立てください。
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