リード獲得の有効な施策として多くの企業が運用しているリスティング広告。「自社でも運用を始めたいけれど、やり方がわからない」と感じている方は多いのではないでしょうか。本記事では、リスティング広告の準備・出稿の流れと運用効果を高めるコツを解説します。
リスティング広告を始める前の準備
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果ページに表示される広告のことです。ユーザーが検索したキーワードに連動して表示され、広告がクリックされると費用が発生することから「検索連動型広告」や「PPC(Pay Per Click)」とも呼ばれています。
リスティング広告には以下のようなメリットがあり、多くの企業がリード獲得を目的に運用しています。
- 低コストで広告を出稿できる(月額数千円~)
- 最短1~2日で掲載できる
- ニーズが顕在化した見込み顧客にリーチしやすい
- 状況に応じて運用方法を柔軟に調整できる
ただし、成果を上げるには事前準備を抜かりなく行う必要があります。リスティング広告を始める前にやるべきことは4つです。
ひとつずつ見ていきましょう。
準備①3C分析を行う
3C分析とは、「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの要素からビジネス環境を分析するフレームワークです。
リスティング広告においては、以下のような観点で3C分析を行います。
市場・顧客(Customer) | ・狙うキーワードの検索ボリューム(需要)はどれくらいか ・検索ボリュームが増える(減る)時期はいつか ・顧客はどのような課題やニーズをもっているか |
競合(Competitor) | ・競合他社の出稿状況 ・競合他社はどのような訴求をしているか |
自社(Company) | ・自社商品の強みや差別化ポイントは何か |
3C分析について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
BtoBマーケティングにおける3C分析の位置づけ・フレームワークの使い分け
準備②予算を決める
リスティング広告には「最低限これくらいの費用が必要」といった費用の下限はなく、自社の都合に応じた予算で運用することが可能です。一般的な費用相場は月20~50万円程度ですが、月1万円程度で運用している企業も少なくありません。
リスティング広告の予算は、目標とするCV数(コンバージョン数)やCPA(顧客獲得単価)をもとに設定するのが基本です。例えば、月に100件のCVをCPA2,000円で獲得したい場合の予算は、下記の式から20万円となります。
目標CV数 × 目標CPA = 予算 (100件) (2,000円) (200,000円) |
なお、リスティング広告はクリックが発生しなければ費用がかからず、運用後も1日単位・月単位で予算を調整できるため、最初は大まかに見積もっておけばよいでしょう。
準備③出稿するプラットフォームを決める
リスティング広告を出稿できるプラットフォームは複数ありますが、最もポピュラーなのはGoogle広告とYahoo!広告です。Web解析サイトStatCounterによると、日本国内の検索エンジンのシェアはGoogleが75%前後、Yahoo!が15%前後で推移しているため、まずはGoogle広告から始めることをおすすめします。
ただし、広告の出稿手順はほぼ同じなので、予算が許せば両方に出稿することでユーザーの9割をカバーできます。
準備④ランディングページを用意する
リスティング広告を始める際は、クリック後の遷移先となるランディングページ(LP)を用意する必要があります。LPは、ユーザーを特定のアクションへと導くコンバージョン用のページです。一般的なWebサイトとは異なり、LPでは広告をクリックしたユーザーが求めている情報が1ページに簡潔にまとまっているため、訴求力を高めることが可能です。
既存のWebサイトをLPとして設定する方法もありますが、内容や導線が不適切だとコンバージョンにつながりにくいため、可能な限り専用ページを作成することをおすすめします。
リスティング広告を出稿するやり方・手順
事前準備が整ったら、選定したプラットフォームにリスティング広告を出稿します。
ここでは、Google広告の出稿手順をベースに説明していきます。
(Yahoo!広告も基本的には同じです)
手順①アカウントを作成する
まず、Google広告にアクセスしてアカウントを作成します。トップページの「今すぐ開始」をクリックし、指示に従って情報を入力しましょう。アカウントの作成にあたっては、会社名や担当者の連絡先、支払方法の設定が必要です。
手順②アカウント構成を検討する
リスティング広告のアカウントは、「アカウント」「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード・広告文」の4つの階層で構成されています。アカウント構成はYahoo!でも同様です。
<アカウント構成のイメージ>
各階層の概要は以下の通りです。
アカウント | リスティング広告の運用をまとめる最上位の管理単位で、基本的に1企業につき1アカウント作成する |
キャンペーン | 複数の広告グループをまとめる管理単位。配信目的やターゲットなどが異なる場合にキャンペーンを分け、予算や配信エリアなどを設定・管理する |
広告グループ | 同じテーマをもつ広告文とキーワードをまとめる管理単位。表示させる広告が異なる場合にグループを分けて管理する |
広告文・キーワード | ターゲットとする語句(キーワード)と、表示させる広告の内容を設定・管理する |
最小単位である「広告文・キーワード」をどのようにグルーピングし、アカウントをどんな構成にするかを考えておくことで、リスティング広告を体系的に運用しやすくなります。
手順③キャンペーンを作成する
アカウント構成が決まったら、Google広告の管理画面から「キャンペーン」→「+」をクリックして「新しいキャンペーンを作成」を選択します。
続いて「キャンペーン目標を選択」で下記8つの項目が表示されるので、最も近いものを選択しましょう。
- 販売促進
- 見込み顧客の獲得
- ウェブサイトのトラフィック
- 商品やブランドの比較検討
- ブランド認知度とリーチ
- アプリのプロモーション
- 来店数と店舗売上の向上
- 目標を指定せずにキャンペーンを作成する
一般的なリスティング広告については「販売促進」「見込み顧客の獲得」「ウェブサイトのトラフィック」のいずれかを選択します。目標を指定せずにキャンペーンを設定することも可能ですが、目標を選んでおくと目標達成に役立つ機能や設定が表示され、設定時の判断を助けてくれます。
続いて「キャンペーンタイプ」を選択する画面が表示されます。リスティング広告の場合は「検索」を選び、目標の達成方法を選択します。LPへの流入を目的とする場合は「ウェブサイトへのアクセス」を選びます。
キャンペーンの作成が完了したら、キャンペーン名を入力して次に進みます。
手順④予算と入札単価を設定する
次に「予算と入札単価」の画面で、1日あたりの平均予算と入札単価を設定します。リスティング広告を初めて運用する場合、平均予算は1,000円~5,000円程度が推奨されています。支払い情報の入力も求められるので、必要な情報やクレジットカードを用意しておきましょう。
単価設定で重視している要素は「コンバージョン」「コンバージョン値」「クリック」「インプレッションシェア」などから選べますが、特別な目標がなければ「コンバージョン」を選択します。
手順⑤キャンペーンの配信条件を設定する
次に「キャンペーン設定」で地域や掲載期間などの配信条件を設定します。主な項目は以下の通りです。
- 検索ネットワーク
- 地域
- 言語
- オーディエンスセグメント
- 開始日と終了日
「検索ネットワーク」は「Google検索パートナーを含める」をチェックすることでインプレッション(表示回数)を増やすことができます。
「地域」「言語」「オーディエンスセグメント」はターゲティングに関わる項目です。日本国内のみを対象とする場合は日本を選択します。オーディエンスセグメントはGoogle広告特有の項目で、特定の興味・関心や属性をもつユーザーグループへの配信を設定することができます。後からでも設定できるため、保留にしておいても問題ありません。
なお、Yahoo!広告のターゲティング項目は「デバイス」「地域」「曜日・時間帯」です。
ここまでで、キャンペーンの設定は完了です。
手順⑥広告グループの設定を行う
次に、「キーワードと広告」の画面で広告グループの設定を行います。
出稿したい単語やフレーズが決まっている場合は、「キーワードの入力」に直接入力します。キーワードが決まっていない場合は、関連するWebページのURLや商品・サービス名を入力することでキーワード候補が表示されます。
手順⑦広告を作成する
広告グループを設定できたら、リスティング広告で表示させる広告の内容を設定します。
リスティング広告の表示内容は、下記3つの要素で構成されます。
- 見出し:広告の上部に表示される広告のタイトル
- 説明文:見出しの下に表示される、商品やサービスの説明文
- 表示URL:誘導先ページのURL
見出しや説明文は広告のクリック率を左右する要素なので、ユーザーの興味関心を惹きつける工夫が必要です。ただしGoogleやYahoo!は、文字数や記号、強調表現に関する規定を定めてます。入稿規定に沿っていないと審査を通過することができないため、作成前に確認しておきましょう。
広告の掲載イメージは画面右側のプレビューで確認することができます。
手順⑧広告表示オプションを設定する
最後に「広告表示オプション」を設定します。広告表示オプションとは、広告の下に追加でテキストやボタン、リンクなどを表示させる機能のことです。任意の項目ですが、設定しておけば広告だけでは訴求しきれない情報を表示できるため、クリック率の向上が期待できます。
Google広告では以下のようなオプション項目を設定できます。
- サイトリンク表示オプション
- 電話番号表示オプション
- コールアウト表示オプション
- 構造化スニペット表示オプション
- アプリリンク表示オプション
- プロモーション表示オプション
- 価格表示オプション
- 画像表示オプション
- 住所表示オプション
手順⑨入稿・審査
ひと通りの設定が終わったら内容を確認し、「キャンペーンを公開」をクリックします。入稿が完了すると、広告の内容や支払い情報などについて審査が行われます。ほとんどの場合、Google広告の審査は1営業日以内で完了し、問題がなければ配信が開始されます(Yahoo!広告の審査完了は3営業日以内)。審査状況は広告審査ページの「ステータス」で確認できます。
リスティング広告の効果測定指標と運用効果を高めるコツ
リスティング広告は入稿・配信して終わりではなく、効果検証と改善をくり返すことで広告の精度を高めていく必要があります。
広告配信後に運用担当者が行う主な業務を以下に挙げます。
- 予算管理
- 入札単価の調整
- キーワードの調整
- 広告文の見直し
リスティング広告の効果測定で用いる指標は以下の通りです。
インプレッション数 | 広告が表示された回数 |
クリック数 | 広告がクリックされた回数 |
クリック率(CTR) | 表示回数のうち広告がクリックされた割合
クリック率=クリック数÷インプレッション数×100 |
コンバージョン数(CV) | 商品購入や資料請求、会員登録など設定した目標の達成数 |
コンバージョン率(CVR) | 広告をクリックしたユーザーがコンバージョンに至った割合
コンバージョン率=コンバージョン数÷クリック数×100 |
コンバージョン単価(CPA) | コンバージョン1件あたりの単価
コンバージョン単価 = 広告費用 ÷ コンバージョン数 |
これらの指標をもとに「広告やランディングページの訴求内容は適切か」「費用対効果はどうか」といった効果検証を行うことで、より効果的に運用できるようになります。
最後に、リスティング広告の運用効果を高めるコツを3つ紹介します。
運用のコツ①キーワードのマッチタイプを活用する
リスティング広告の成果を高める上で重要なポイントは、マッチタイプを上手く活用しながらキーワードを設定することです。マッチタイプとは、「登録したキーワードとユーザーが検索した語句が、どの程度一致したときに広告を配信するか」を定義する項目です。
マッチタイプは下記3種類から選択できます。登録したキーワードが「格安 海外旅行」の場合の具体例も参考にしてください。
マッチタイプの種類 | 内容 | マッチする検索語句の例 |
完全一致 | 登録キーワードと検索語句が完全に一致する、または類似パターンに当てはまる場合に広告が表示される | 「格安 海外旅行」 「海外旅行 格安」 |
フレーズ一致 | 登録キーワードと同じ意味合いの語句を含む場合に広告が表示される | 「海外旅行 セール」 「安い 旅行 海外」 |
部分一致 | キーワードに関連する語句で検索された場合に広告が表示される | 「家族旅行 海外 コスパ」 「海外旅行 人気ツアー 安い」 |
※「絞り込み部分一致」は2021年7月の仕様変更で廃止されました
広告が表示される回数は「完全一致→フレーズ一致→部分一致」の順に多くなるため、フレーズ一致や部分一致を意識してキーワードを設定するとインプレッション数が伸びる可能性があります。
最初からマッチタイプを使いこなすことは難しいですが、それぞれの特徴や運用状況をふまえてキーワード設定を最適化していけば、成果を高めることが可能です。
運用のコツ②除外キーワードを設定する
上述のように、フレーズ一致や部分一致を活用すれば広告表示回数を増やすことができます。ただし、キーワードの範囲を拡げると意図とは異なる検索語句も拾いやすくなり、クリック率の低下や、不要なクリックの発生(=不要なコストの発生)につながります。
このようなリスクに対しては、「除外キーワード」を設定して広告の出稿対象から外すことが有効です。例えば、海外旅行の格安ツアーを提供する旅行会社が「格安 海外旅行」というキーワードを設定し、「海外 物価 安い」という意図しない検索語句での広告表示やクリックがある場合、「物価」を除外キーワードとして登録できます。
除外キーワードを適切に設定すれば、部分一致でもキーワードと関連性の高い検索語句に対してのみ広告が表示されるようになります。
運用のコツ③品質スコアを意識する
品質スコアとは、リスティング広告で出稿するキーワードを評価する指標のことで、1~10の10段階で評価されます。スコアが高くなる(値が大きい)ほど広告の掲載順位が上がり、クリック単価も安くなるため、品質スコアを意識した運用を心がけましょう。
品質スコアを決定する要素は以下の3つです。
- 広告の関連性:設定したキーワードと広告の関連性
- ランディングページの利便性:LPの内容が広告をクリックしたユーザーにとって有益かどうか
- 推定クリック率:広告が表示された際にクリックされる可能性の高さ
(過去の検索結果を考慮して判定される)
品質スコアを高める対策の例を以下に挙げます。
- 見出しや説明文にキーワードを含める
- 訴求力の高い広告文にする(数字や限定表現を使うなど)
- キーワードと広告に一貫性をもたせる
- 広告グループを検索意図に沿ってまとめる
- 広告と関連性の強いページを誘導先に設定する
- LPにボタンやフォームを適切に配置する
Google広告の品質スコアは、管理画面の「キャンペーン」→「キーワード」→「表示項目」→「品質スコア」から確認できます。スコアが低い場合は改善の余地があるため、定期的にチェックして施策を見直すことをおすすめします。
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リスティング広告はマーケティングに欠かせない施策のひとつです。上手く運用すれば多くのリードを獲得できますが、そのためには事前準備や出稿を適切に行い、PDCAをまわし続ける必要があります。
リスティング広告の運用について、以下のような課題がある場合はシーラベルにご相談ください。
- 広告運用に充てるマーケティング人員がいない
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