マーケティングの手法のひとつに「ウェビナー」があります。ウェビナーはウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語です。対面で開催するセミナーとは異なり、インターネット環境さえあれば、場所やデバイスを問わず多くの参加者に向けて情報を発信できるのが、ウェビナーのメリットです。
しかし参加者をいかに集客するか、悩む企業は少なくありません。そこでこの記事では、ウェビナーの集客を成功させるコツを紹介します。実際の集客方法や、集客したユーザーの参加率を上げる工夫も解説します。
ウェビナーの集客を成功させるコツ
まずは、ウェビナーの集客を成功させるコツから解説します。
ターゲットを明確にする
ウェビナーの集客を成功させるもっとも大切なポイントは、ターゲットを明確にすることです。例えば新規ユーザー獲得を目指す商品紹介のウェビナーであれば、既存ユーザーへの告知は必要ありません。対してエンゲージメントを高め離脱を防ぐための、もっと便利な使い方を紹介するようなウェビナーなら、ターゲットは既存ユーザーになります。
効率的に集客するには、まずは「どのような内容」を「誰にとどけたいのか」、ターゲットを明確にすることから始めましょう。
ターゲットにあった集客方法を選ぶ
ターゲットを明確にしたら、それに適した集客方法を考えます。ウェビナーの集客方法には、自社サイトやSNSで告知する、メールを送るなどさまざまな方法があり、それぞれ適したターゲットがあります。
既存ユーザー向けのウェビナーならメールリストをもとに集客する、新規ユーザーを獲得したいなら、潜在層や顕在度が低い層に広くアプローチできるWeb広告やSNSを活用するなど、ターゲットにあった集客方法を選びましょう。
集客方法の種類と適したターゲット層などは、ウェビナーの集客方法で解説します。
参加ベネフィットを明確に伝える
集客するときには、対象ユーザーが参加するベネフィットを明確に伝えることもポイントです。
ウェビナーは1時間程度であるのが一般的です。ユーザーはその「1時間」を差し出すのに値するだけのベネフィットを得られるのかを考えたうえで、ウェビナーに参加するかどうかを検討します。そのため集客に際しては、ウェビナーのタイトルやキャッチコピーで、ユーザーが得られるメリットが端的に伝わる工夫が必要です。
参加ベネフィットを伝える具体的な工夫については、ウェビナーの集客を増やすイベントページの作り方で解説します。
当日を含め複数回告知する
ウェビナーの集客を成功させるには、告知の回数やタイミングも重要です。
ウェビナーの告知は、4週間前から始めるのが適切といわれています。告知があまりに早すぎるとスケジュールが見通せず、逆に遅すぎるとすでに予定が入っていて参加できなくなってしまうためです。
告知は一度だけではなく、複数回おこないましょう。4週間前から告知を開始し、1週間前には再度告知します。オンラインセミナー専用ソフトウェアを提供している米国のLogMeIn社の調査によると、申し込みのうち59%がこの期間に発生し、さらにそのうちの17%は、ウェビナー当日に申し込むとの結果が出ています※1。
準備不要でいつでもどこからでも参加できることが、ウェビナーのメリットです。当日でも申し込める環境にしておくと、集客率を上げることができるでしょう。
※1 参考:THE BIG BOOK OF WEBINAR STATS(9ページ)|GoToWebinar by LogMeIn(2019)
ウェビナーの集客方法
それではウェビナーに集客するための具体的な方法を、5つ紹介します。
メールで告知する
LogMeIn社の調査では、ウェビナーの集客でもっとも効果があったとされるのはメールであったとの回答が、57%にも達しています※2。
そもそもメールアドレスを把握しているということは、すでに自社サービスのユーザーである、あるいは何らかの形ですでに自社にコンタクトがあった人であることを意味します。自社に一定の興味・関心がある顕在度が高い人にアプローチしない手はありません。リストをもとに、マーケティング部からメールを送ってもらいましょう。
なおBtoBの場合、メールは平日の早朝に配信されるよう設定するのがおすすめです。ターゲットがメールボックスを開いたときに、トップにセミナーの案内メールが表示されるとベストです。
※2 参考:THE BIG BOOK OF WEBINAR STATS(8ページ)|GoToWebinar by LogMeIn(2019)
自社サイトで告知する
自社サイトの目立つ場所にもバナーを張り、ウェビナーの専用ページへ誘導しましょう。
自社サイトに能動的にアクセスしてくるユーザーは、それだけ自社のサービスに関心があることを意味します。ウェビナーが開催されることを知れば、商品やサービスをより深く知るチャンスと捉え、参加してもらえる確率が高まります。
SNSで告知する
SNSを運営しているのであれば、あわせて告知するポストを投稿します。SNSでの告知は、すでにフォローしてくれているエンゲージメントが高いユーザーはもちろん、偶然ポストを見かけたこれまで接点がなかった人にもウェビナーを知ってもらえることがメリットです。
ウェビナーの内容が多くの人の関心を引く内容であれば、いいねやリポストなどで拡散され、予想以上に参加者が増える可能性もあるでしょう。
Web広告を出稿する
費用はかかりますが、Web広告を出稿するのもウェビナーへ集客する手法のひとつです。Web広告を使うときには、ターゲットにあわせて広告の種類を選びましょう。ウェビナーの告知におすすめのWeb広告は以下のとおりです。
Web広告の種類 | 特徴 |
SNS広告 | SNSのタイムラインに表示される広告。住んでいる地域や年齢層、業種などでターゲット層を絞り込んで広告表示できる。 |
リスティング広告 | GoogleやYahoo!などの検索結果に表示される広告。ウェビナーの内容と関連があるキーワードで検索した人に効率的にアプローチできる。 |
リマーケティング広告 | 過去に自社サイトを訪問した、一定の関心があると思われる層に配信される広告。特定のページを視聴した、アプリをダウンロードしたなど、ウェビナーに関心があると思われる人に効率よくアプローチできる。 |
ディスプレイ広告 | Webサイトやアプリなどの広告枠に表示される広告。セミナーの内容と関係があるサイトに表示させれば、まだ自身の課題が顕在化していない層にアプローチできる。 |
ウェビナー集客サイトを利用する
さまざまなウェビナー情報を集めて掲載している「ウェビナー集客サイト」も活用しましょう。サイトによって無料・有料のところがあるので、まずは無料のサイトから試してみることをおすすめします。
なおウェビナー集客サイトはそれぞれ得意分野があります。例えばウェビナー集客サイト大手のPeatixはテックからダイエットやヨガまであらゆるウェビナーを紹介しているのが特徴です。対してTECH PLAYは、プログラミングやデータ分析など、テックに特化しています。
ターゲットとする層が使う集客サイトはどこなのかを考えて、利用するサイトを選びましょう。
ウェビナー集客代行サービスを活用する
どの集客方法が自社に適しているかわからなかったり、自社で集客する余力がなかったりする場合は、ウェビナー集客の代行サービスを利用するのも方法のひとつです。まずは代行サービスを利用し、ノウハウを蓄積してから自社での集客にトライするのもおすすめです。
なおウェビナー代行サービスのなかには、企画からサポートしてくれるところもあります。シーラベルでは、自社でのウェビナー開催経験をもとに企画や集客のサポートをしています。ウェビナーの開催に課題を抱えている方は、気軽にお問い合わせください。
ウェビナーの集客を増やすイベントページの作り方
ウェビナーの集客を増やすには、イベントページも重要です。メールや広告で関心を引いても、イベントページで申し込みに至らなければ参加者は増えないためです。
ここでは集客につながるイベントページの作り方を解説します。
ベネフィットが伝わるタイトルを考える
ウェビナーの集客にもっとも重要なのは、イベントのタイトルです。メールでも広告でも、ユーザーはタイトルを見てイベントページに飛ぶかどうかを決めるためです。
ユーザーに興味・関心を持ってもらうには、タイトルで「誰のための」「どんなベネフィットが得られる」ウェビナーなのかを明確に伝えなければなりません。とくに得られるベネフィットは、定量的に伝えることがポイントです。
例えば「初心者向けのマーケティング講座」というタイトルは、漠然としすぎていて興味を持ってもらえません。しかし「【BtoB初心者マーケター向け】CV率を3倍にするSNSマーケティング講座」とすれば、誰のための、どんなベネフィットがあるウェビナーなのかが明確です。
ターゲットが自分事として捉え、時間を割くだけの価値があると思ってもらえるタイトルを考えましょう。
ウェビナーの情報は一覧にまとめておく
ウェビナー開催者は、ウェビナーの良さを知ってほしいがあまり、ページをテキストで埋めてしまいがちです。しかしそうすると、タイトルで関心を持った人であっても読み進めるのが苦痛になり、ページから離脱してしまう可能性があります。
そうならないよう、ウェビナーの内容は一覧にまとめ、ページの早い段階で紹介し、内容を把握したうえでより関心がある人に読み進めてもらうスタイルにするとよいでしょう。
一覧には、最低限以下の内容を掲載します。
記載項目 | 内容 |
ウェビナータイトル | ベネフィットが伝わるタイトルにする |
対象者 | ターゲットとなる対象者は明確にする |
開催日時 | ターゲットが参加しやすい日時にする |
開催方法 | Zoom、Google Meet、Teamsなど、開催方法を明確にする |
当日のプログラム | おおよそのタイムテーブルと内容を記載する |
参加費用と支払い方法 | 無料なのか有料なのか、有料であるならカード・振込など支払い方法を明確にする |
定員 | 募集人数を記載する |
POINT! ウェビナーの定員について
ウェビナーは、ツールにもよりますが、1万人程度まで参加できるのが一般的です。しかし最初から100人、200人と大人数で募集すると、定員に達しなかったときに挫折感があります。
過去に大きな反響があった人気のウェビナーでない限り、最初は少人数から募集し、定員に達した段階で追加募集するのがおすすめです。そのほうが達成感があるのに加え、「人気セミナー」の印象を与えられます。
なお参加者にとっては、ウェビナーが大規模になればなるほど心理的距離が遠くなります。ウェビナーの集客数は大きければ大きいほどいいとは限りません。開催するウェビナーの目的にあった定員を考えておきましょう。
申し込みボタンは複数設置する
イベントページの申し込みボタンは、スクロールした最後だけでなく、途中に複数設置することもポイントです。イベントページを開いたときにはすでに参加を決めている人もいれば、ウェビナーの概要を読んだだけで参加を決める人もいるためです。
そのような人にとっては、ページのどこに申し込みボタンがあるのか分からないのはストレスでしかありません。申し込みボタンは、ページトップから遠くない、概要のすぐ下を含め複数設置しておくとよいでしょう。
講師のプロフィールを掲載する
ウェビナーに誰が登壇するのか、講師はどのような人なのかも、イベントページで紹介しましょう。どのようなバックグラウンドがある講師なのかを知ることは、ウェビナーの価値を見極め、参加を決める重要な判断ポイントになるためです。
そういった意味でも、誰を講師に選ぶかも参加率を高める重要なポイントになります。「この人の話なら聞いてみたい」と思ってもらえる人に登壇してもらいましょう。
ウェビナーの参加率を上げる工夫も必要
ウェビナーに集客しただけで満足してはいけません。どれだけ申込者が多くても、実際に参加してもらえなければ意味がないためです。とくに無料のウェビナーは「とりあえず申し込んでおこう」と考える層は少なくないため、参加率を上げる取り組みは重要です。
ここではウェビナーの参加率を上げるためにできる工夫を紹介します。
リマインドメールを送る
ウェビナーの参加率を高めるには、リマインドすることが重要です。
会場に集まっておこなう対面セミナーとは異なり、ウェビナーは直前に思い出したとしても、インターネットにつながりさえすれば参加できます。そのためリマインドメールは、開催の3日前、前日、当日の午前中など複数のタイミングで送り、さらにウェビナーが始まる1時間前、あるいは30分前など直前にも送りましょう
SNSでもリマインドする
ウェビナーのリマインドは、メールと並行してSNSでもおこないましょう。申込者にリマインドするのと同時に、今からの申し込みも可能であることを伝えれば、その日初めてウェビナーを知った人の新たな申し込みも期待できます。
集客率や参加率を上げるには、「直前でも参加できる」ウェビナーのメリットを最大限活かしましょう。
参加特典を設ける
参加特典を設けるのも、ウェビナーの参加率を上げるのには有効です。例えば参加した人だけウェビナーで使った資料をDLできることをあらかじめ告知しておくと、参加の可能性が高まります。
その際には、ウェビナーの感想を聞く簡単なアンケート回答とセットにすると、効果測定も同時におこなえるのでおすすめです。
見逃し配信する
ウェビナーに申し込んでいたものの、当日参加できなかった人に対しては、アーカイブ動画を配信することも検討しましょう。ライブ感はないものの、当日参加できなかった人に見てもらえるのがメリットです。
ただしはじめから見逃し配信することを告知すると、当日の参加率が下がるリスクがあります。「あとで見られる」「いつでも視聴できる」と思った人が、実際にウェビナーを見てくれるかはわかりません。見逃し配信を事前告知するかどうかは、よく検討して決めましょう。
まとめ
ウェビナーの集客方法は、メールや自社サイト・SNSでの告知、Web広告出稿など複数あり、ターゲットにあわせて選ぶことが大切です。また申し込みに至らせる魅力的なイベントページの作成や、申し込みを済ませたユーザーの参加率を上げる取り組みも欠かせません。
ウェビナーの集客に自信がない場合には、まずは集客代行サービスに依頼して、ノウハウを学ぶのもおすすめです。シーラベルでは自社のウェビナー開催経験に基づいて、企画から集客までサポートが可能です。どうぞお気軽にお問い合わせください。