MAのスコアリング機能でホットリードを自動抽出|必要な準備と成功のポイント

多数の見込み顧客から受注確度の高いホットリードを選別するには、マーケティングオートメーション(MA)のスコアリング機能を活用することが効果的です。MAではスコアリングを自動化できるため、営業の生産性を高めることができます。本記事では、MAでスコアリングを行うメリットや必要な準備、注意点などを解説します。

マーケティングオートメーション(MA)のスコアリングとは

マーケティングにおけるスコアリングは、「Webサイトを閲覧したら3点」「資料請求をしたら20点」など見込み顧客の行動を点数化して購買意欲が高いホットリードを抽出するプロセスです。

マーケティングオートメーション(MA)にはスコアリングを自動化する機能が備わっており、自社の基準に沿って見込み顧客の評価から選別まで一元管理することができます。

MAのスコアリング機能でできること

スコアリングに関して、MAでは以下のことを実現できるようになります。

見込み顧客のデータを自動収集・一元管理

MAでは、WebサイトやDMの閲覧状況などインターネット上の見込み顧客のデータを自動的に収集・蓄積することができます。オフライン施策に関する行動データも管理できるため、スコアリングに必要なデータ基盤を構築できます。

独自のスコアリングモデルの構築

MAでは、「誰が・何をしたら〇点」「合計〇点以上はホットリードとして営業部門に引き渡す」などの基準を設定して独自のスコアリングモデルを構築できます。自社の目的に合ったシナリオやスコア配分をもとに、受注確度の高いリードを自動的に抽出することが可能です。

高スコアのリードをタイムリーに通知

MAにはアラート機能が備わっており、ホットリードとみなす基準スコアに達したらメールで通知されるように設定することができます。これにより、購買意欲が最も高まっているタイミングを逃さずにアプローチできるようになります。

One to oneマーケティングの実現

MAでは、スコアリングの結果をもとにメールを自動配信することも可能です。セミナーの案内や製品紹介資料など、見込み顧客の状況に応じた情報を届けることで精度の高いOne to oneマーケティングを実現できます。

MAでスコアリングを行うメリット・効果

スコアリングにMAを活用することで得られるメリット・効果は主に3つあります。

見込み顧客の検討レベルを可視化

MAのスコアリング機能では、商品・サービスに対する見込み顧客の興味関心の度合いが数値化されます。検討レベルがどの程度に達しているかを定量的に把握できるようになるため、経験や勘に頼ることなく確度の高いリードを選別できます。

営業の生産性向上

MAでスコアリングを行うことで、優先的にアプローチすべき顧客が明確になります。成果に直結するリードに営業リソースを集中的に投下できるようになるため、営業の生産性が向上します。また、購買意欲の高い顧客を取りこぼすリスクが減るため、機会損失の防止にもつながります。

潜在層のナーチャリングを強化

従来のアナログな営業手法では、購買意欲が低い見込み顧客は放置されることが少なくありませんでした。MAのスコアリング機能を活用すれば、現段階では見込みが低い潜在層や休眠顧客の情報を中長期的に管理しながら適切なアプローチを行い、検討レベルを高めることが可能です。

スコアリングの3つの指標

MAにおけるスコアリングは、主に3つの指標に沿って行います。

  • 属性(アトリビュート)
  • 行動(インタレスト)
  • 活性度(アクティビティ)

具体的に見ていきましょう。

指標①:属性(アトリビュート)

BtoBでは、企業および個人(担当者)の属性がスコアリングの対象となります。

<スコアリング項目の例>

企業の属性 資本金
・従業員数
・売上高
・業界・業種
・地域
個人の属性 ・所属部署
・役職
・勤続年数
・決裁権の有無

企業の属性では、自社のターゲットを基準にスコアを設定します。例えば大手企業やIT業界をターゲットとしている場合、「資本金5億円以上は20点、5,000万円以下は5点」「IT業界は20点、他業種は10点」といった点差をつけます。

個人の属性では、「部長は15点、担当層は3点」など、意思決定への関与度が高いほど高スコアを配点します。

指標②:興味(インタレスト)

自社の商品やサービスに対する興味・関心の度合いをスコアリングする指標です。見込み顧客の実際の行動をもとに、以下のように加点・減点していきます。

<スコアリングの例>

Webサイト ・サービスサイトへの訪問:+3点
・商品紹介の動画を視聴:+5点
・料金ページの閲覧:+5点
・90日以上訪問なし:-10点
メール施策 ・メールを開封:+1点
・メール内のURLをクリック:+3点
・10回以上メール未開封:-3点
・メールの配信解除:-10点
資料請求 ・業界の動向をまとめた資料:+10点
・製品の仕様や特徴をまとめた資料:+20点
・製品の料金表:+30点
イベント ・セミナーへの申し込み:+5点
・セミナーに参加:+15点
・個別相談会の申し込み:+20点
・展示会で名刺交換:+10点

指標③:活性度(アクティビティ)

活性度とは、見込み顧客が行動を起こしたタイミングを評価する指標です。インタレストのスコアが一時的に高い場合でも、時間の経過とともに興味・関心は薄れてしまいます。例えば、3ヶ月前にサイト訪問や資料請求があったものの、それ以降のアクションが途絶えた顧客は他社を検討している可能性が考えられます。

そのため、行動が鈍化している顧客に対しては、自社と接点のあった日を起点に「60日経過していたら-10点」「90日以上経過していたら-20点」と減点していきます。

MAのスコアリングに必要な準備

MAでスコアリングを行うには事前の準備が必要です。ここでは、4つの準備事項を紹介します。

スコアリングやホットリードの基準を定義

「どの行動にどれくらい加点(減点)するのか」「スコアが何点に達したらホットリードとみなすのか」といったスコアリングモデルを構築するためには、見込み顧客のどのような属性・行動が受注につながりやすいのかを精査する必要があります。

タッチポイントごとに購買意欲の高低を正確に判断することは難しいですが、例えば既存顧客が受注に至るまでの行動の傾向や、優良顧客の属性など過去のデータが参考になります。また、ターゲットのペルソナやカスタマージャーニーを作成しておけば、スコアリングの項目や成約のカギとなる行動を整理しやすくなります。

スコアリングモデルの基準を決める際は、営業部門の意見を参考にすることも大切です。実際に顧客とコミュニケーションをとる営業の視点を加えることで、より精度の高い基準を設定しやすくなります。

以下の記事も参考にしてください。

【テンプレート付き】BtoBカスタマージャーニーマップの作り方と失敗を防ぐコツ

スコアリングの対象期間を設定

スコアリングの基準を設定したら、スコアを測定する期間を決めます。BtoBでは受注に至るまでのリードタイムが長期化しやすいため、ホットリードとみなされるスコアに到達するまでの期間に大きな差が生じることがあります。例えば、1ヶ月で到達した顧客と1年かかって到達した顧客を同じ確度のホットリードとして扱うことは適切ではありません。そのため、自社商材の検討に要する期間やマーケティング活動の流れを考慮したうえで、適切な期間を設定しましょう。

ホットリードに対するアクションを決定

抽出したホットリードに対して、いつ・どのようなアクションを起こすのかを明確にしておくことも重要です。例えば、「営業がホットリードを引き取ってから3日以内にフォローの電話をする」「5日以内に商談打診のメールを送る」などです。具体的なアクションが明確になっていないと、ホットリードへの対応が遅れて商談機会を失う可能性があります。営業部門と相談して対応の流れや内容を決めておきましょう。

デフォルトのスコア設定を調整

MAによっては、スコアリングの項目や配点がデフォルトで設定されている場合があります。そのまま運用することも可能ですが、自社のマーケティング施策やスコアリングの方針に合っていない場合は調整が必要です。事前に決めたスコアリングモデルに沿って、スコアリング項目や配点を設定しましょう。

スコアリングを成功させるポイント・注意点

初心者にとってMAのスコアリングは難易度が高いため、失敗するケースが少なくありません。最後に、MAのスコアリング運用を成功させるためのポイントや注意点を5つ紹介するので、参考にしてください。

シンプルな設計から始める

最初から緻密なスコアリングモデルを設計すると運用や効果測定が複雑になり、挫折や失敗につながる可能性があります。慣れないうちはスコアリング対象の項目を絞り、配点もできる限りシンプルにすることをおすすめします。

まずはデフォルトの設定から始め、スコアリングの流れを把握できた段階で自社のモデルに合わせてカスタマイズするのも一案です。

運用には十分なリード情報が必要

スコアリングを適切に運用するには、充実した見込み顧客リストが必要です。見込み顧客が少ないとスコアリングモデルを正確に機能させることができず、ホットリードを抽出する精度が低下してしまいます。見込み顧客の数・情報ともに不足している場合は、過去に展示会やセミナーで取得した名刺や、まだ統合できていない顧客データなどを洗い出して見込み顧客リストを整備することが先決です。

既存リードでテストを行う

スコアリングモデルを設計通りに運用できるとは限らないため、本格運用の前にテストしておくことをおすすめします。例えば、過去に受注・失注した案件からリードを無作為に抽出し、それらの属性・行動をもとにスコアを算出します。ホットリードの基準を満たしたリードの特徴や割合を検証することで、作成したスコアリングモデルの妥当性を判断することができます。

スコアリング前にノイズを除去する

オンライン・オフラインの様々なチャネルで収集された膨大な見込み顧客の中には、検討レベルがかなり低いリードも数多く混在しています。全リードをスコアリングの対象とすると、ホットリードを選別する過程で確度の低いリードがノイズとなることがあります。

不要なノイズを除去するために、特定の条件に合致したリードのみをスコアリングの対象とすることも一案です。例えば、「直近1ヶ月以内にサービスサイトを訪問し、事例ページまたは料金ページにアクセスした」「DMを3回以上開封した」といった前提条件を設定することで、効率的かつ精度の高いスコアリングを実施できるようになります。

運用しながら最適化する

スコアリングモデルはあくまでも仮説に基づいて作成したものなので、一度設定したら終わりではありません。実際に運用してみたら「高スコアの顧客が受注に至らなかった」「実際は成約の見込みがあったのに、スコアが低いためにアプローチの機会を逸してしまった」といったズレが出てくることがあります。

このようなズレを放置していると、受注率が低下して営業部門にも大きな負担をかけてしまうため、スコアリングの設計は定期的に見直すことが肝要です。最初は月1回のペースで実績を検証し、実際に成約に至った(または至らなかった)顧客の行動とシナリオとの差異を洗い出しましょう。

ホットリードとして引き渡したリードの特徴や感触について、営業部門からフィードバックをもらうことも大切です。マーケティング・営業が連携してPDCAをまわすことで、スコアリングモデルを最適化できます。

MAの導入方法や選び方については、以下の記事を参考にしてください。

MAツール導入・運用の基本|導入の流れと運用に失敗しないポイントを解説

【BtoB向け】MAツールの選び方|比較選定のポイントとおすすめツール7選

MAでスコアリングを始めよう

近年は、タッチポイントの多様化に伴って様々なチャネルから見込み顧客を獲得できるようになりました。その一方で、多数のリードを適切に管理・フォローしながらホットリードを選別する重要性も高まっています。

MAのスコアリング機能を活用すれば、自社に合ったスコアリングモデルを構築できます。受注確度の高いホットリードを自動的に抽出できるようになるため、営業の生産性を高めることが可能です。ただし、初心者にとってスコアリングは比較的難易度が高い施策です。まずは全体の流れを把握するためにシンプルな設計から始め、PDCAをまわしながら少しずつアップデートすることをおすすめします。