営業力とは|今求められる8つのスキルと営業力強化を実現するポイントを解説

営業力とは、契約・受注を獲得するための営業活動に求められる能力の総称です。多様な商品・サービスが市場にあふれる今、営業に求められる能力も変わりつつあります。本記事では営業力を支える8つのスキルを解説するとともに、営業力強化の方法を見ていきます。

営業力とは

昨今のビジネス環境は、類似商材の増加や異業種からの参入によって企業間の競争が激化していることにくわえ、顧客の課題・ニーズの多様化が見られるなど営業活動の難度が上がっています。また、内部的な要因を見ると、業務効率化や生産性向上におけるリソース配分・プロセスの最適化を課題に挙げる企業も多く見られます。

こうした環境下で、いま営業に求められるスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。営業力を構成するスキルを以下に整理しました。

営業力を支える8つのスキル

1.信頼関係構築能力

信頼関係の構築は、顧客のビジネスパートナーとなり得るための基礎的なスキルです。様々な要素がありますが、顧客の信頼を獲得するには以下のような対応が求められます。

  • 顧客とのやり取りを円滑に行える
  • 顧客の質問に対し、誠実な受け答えができる
  • 顧客の要望に対し、スピーディに対応できる
  • 顧客のメリットや成功を大切にするマインドで行動できる

2.知識力

豊富な知識を持っている営業は顧客からの信頼を獲得しやすく、相談される機会が増えるという利点があります。また、広範囲かつ専門的・具体的な知識があるほど提案力が上がるため、競争優位性を確保しやすくなります。 

必要とされる知識の例を以下に挙げます。

  • 自社商材に関する知識
  • ビジネス領域における市場動向・ニーズ
  • ビジネス領域における新たな技術
  • 競合商材・代替商材に関する知識
  • 成功事例・失敗事例

これらの知識を得るには常に多方面にアンテナを張り、情報収集することが必要です。

3.ヒアリング力

営業におけるヒアリング力とは、顧客の悩み・課題・ニーズを聞き出す能力のことです。顧客にとって最適な提案をスピーディにできるようになるため、契約・受注の確度が高まります。営業のヒアリング力をさらに分解すると、次の2つのスキルが必要になります。 

  • 仮説力:すでに収集している情報・データから仮説を立て、的確な問いによって解を導く能力
  • 質問力:相手の思考や反応に応じて的確な質問をする能力

これらのスキルを磨くことで顧客への理解が深まることにくわえ、顧客自身も気づいていなかった潜在的なニーズや本質的な解決策に目を向けるようになるなど、顧客の視野を広げる効用も期待できます。ただし、質問攻めの印象にならないように、顧客に気持ちよく話させるための傾聴・共感の姿勢で臨むことが大切です。 

4.論理的思考

論理的思考(ロジカルシンキング)とは、結論と根拠を体系的に捉えながら筋道を立てて整理する思考法のことです。営業においては、次の効用が期待できます。 

  • 原因と結果の因果関係が整理されるため、筋の良い課題解決提案ができる
  • 筋道の通った説明によって顧客の納得感を醸成できる

5.ソリューション思考

ソリューション思考とは、顧客が抱える課題・ニーズに応じて解決策や改善策を提案する考え方のことです。とくに、類似商材が市場に多く出回りコモディティ化が起きている場合や、顧客の課題が多様化・複雑化しているケースで有効な思考です。

ソリューション思考による提案では、次のようなメリットを得られます。

  • 顧客にとって最適な提案ができるようになるため顧客満足度が向上
  • 顧客の課題・ニーズを捉えたアップセル・クロスセルによる顧客単価の向上

6.プレゼンテーション能力

プレゼンテーション能力とは、限られた時間の中で顧客の納得感や共感を生み出し、態度変容を起こす伝え方のスキルです。とくに昨今はオンライン商談が増えているため、画面を通しても訴求力を発揮できるプレゼンテーションが求められています。 

  • 説得力のある資料作成ができる
  • 論理的でわかりやすい説明ができる
  • 聞き手の反応に合わせた臨機応変な対応で興味を惹きつけることができる

7.行動計画力

目標達成に向けて、着実に営業活動を進められるように計画する能力です。期日・営業日数から逆算し、目標を達成するために必要な日々のアクションを行動計画に落とし込みます。

以下の状態が理想的です。

  • 日々のやるべきことが明確になっている
  • 現実的に可能な計画値(訪問件数・商談数など)になっている

8.遂行・管理能力

行動計画に沿って日々の営業活動を効率的に遂行し、進捗管理を行うスキルです。一般的に営業担当は複数社を担当し、それぞれのフェーズに合わせてヒアリング・提案・商談・クロージング・フォローといった対応をしなければならないため、効率的に進めることが重要になります。また、日々状況が変わる中では迅速な軌道修正が必要となる場面も多いでしょう。

営業活動を適切かつ効率的に行うには、次のような管理が必要です。

  • 目標管理
  • 顧客管理
  • 案件の進捗管理
  • タスク管理
  • スケジュール管理

営業力が上がらない要因とは

営業組織は企業の売上創出という重要な役割を担う部門ですが、課題を抱えたまま営業活動を進めても思うような成果は得られません。まずは、営業力が上がらない主な要因を見ていきましょう。 

営業活動が属人化している

営業は多岐にわたるスキルが求められることから、属人化しやすい傾向があります。その結果、「トップ営業と他の営業担当の業績差が大きく安定的に売上が伸びない」「ノウハウが蓄積されず仕事の質にバラつきがある」などの問題が起きます。

こうした状態となる要因には、以下のようなことが挙げられます。

  • 人材育成の仕組みやノウハウがない
  • 営業組織内で情報やノウハウの共有がされていない
  • 顧客の課題・ニーズに応じたトークスクリプトが整理されていない

組織的な営業プロセスが整理されていない

従来の営業スタイルでは「見込客のリストアップ→アポイント→ヒアリング→提案→商談→クロージング→フォロー」と、一連の営業プロセスを営業担当がすべて行うのが主流でした。しかし、スピード感ある対応が売上を左右する現代において、一人の営業担当がすべてを担うのは負荷がかかりすぎます。 

結果として「業務が追いつかない」「商談数を増やせない」といったことが起こりがちです。この問題が起きる要因には、次のようなことがあります。

  • 現在の営業環境に合った営業プロセスが整備されていない
  • 営業担当のリソース配分が整理されていない
  • マーケティング部門やカスタマーサポート部門など、他部署を含めた役割分担と業務プロセスの最適化が検討されていない

情報を共有・管理する仕組みがない

営業活動では営業担当がそれぞれに業務を進めるため、顧客に関する情報や案件の進捗が見えづらくブラックボックス化しやすいという課題があります。その結果、属人化が進むことにくわえ、「マネジメント層が失注理由をつかめず適切な軌道修正ができない」「引継ぎができない」などの問題が生じます。

また、営業担当が必要な情報を収集するのに時間がかかってしまい、商談機会を損失してしまう恐れもあるでしょう。これらの問題の要因には、以下のことが考えられます。

  • 営業活動に必要なデータ・情報(顧客情報・商談内容・進捗など)を可視化・一元管理する仕組みがない
  • 情報共有のフローが整理されていない

営業力を上げるには

営業力を向上させるには、個々のスキルアップだけでなく組織的な取り組みも必要になります。安定的・継続的に売上を伸ばせる営業組織となるにはどのような取り組みが必要なのか、ポイントを見ていきます。

営業活動の分業化

営業のリソース不足は、多くの企業が挙げる悩みの一つです。これを解決するには、これまで一人の営業担当が行っていた一連のプロセスを他部門と分担する分業化が有効です。 

営業活動の分業制を体系化したものでよく知られているのが「The Model」です。Salesforce社が提唱している考え方で、見込客獲得はマーケティング部門、見込客育成・アポイント獲得はインサイドセールス、商談・契約は営業が担当、契約継続のためのフォローはカスタマーサクセス部門が対応するというように役割を分け、それぞれに目標数値を持ちます。

分業化することで、営業担当は提案・商談などのコア業務に集中できるようになります。ただし、分業化を成功させるには、情報がシームレスに共有される部門間連携が必須です。以下の点に留意する必要があります。

  • データや情報を可視化・共有する仕組みが必要(SFA、CRMなど)
  • オペレーションのルール化が必要

営業プロセスの標準化

組織全体の営業力を上げるには、個人のスキルに依存せずに、誰もが成果につながる行動をとれるようにすることが重要です。そのためには、一定以上の成果を出している営業プロセスを特定して、標準化・実装することが必要になります。 

具体的には、以下のような取り組みを行います。

  • トップセールスの営業プロセスから活動量や活動内容を分析
  • 高い成果を上げている営業プロセスを型化
  • 営業プロセスの各段階におけるKPIを設定

たとえば、トップセールスは初回訪問時に必ず「予算と導入時期を聞いている」というプロセスを確認できたなら、これを型化して実装します。ノウハウが共有される仕組みができることで、営業力が徐々に強化されていきます。

営業活動の可視化・分析・一元管理

営業活動が可視化されることで、自社のボトルネックや失注理由が明確になり、有効な打ち手につなげられるようになります。また、属人化の抑止やスムーズなノウハウ共有、売上目標・行動目標のマネジメントがしやすいなど多数のメリットを得ることができます。

活動内容の可視化・分析・一元管理には、SFA(営業支援システム)などを活用したシステム化が必須です。以下のような点に着目しながら、営業力強化を図ります。 

  • 歩留まりが低い・高いプロセスは何か
  • KPIを達成できていないプロセスは何か
  • リソースを多く割きすぎているプロセスは何か
  • 失注理由として多いことは何か
  • 失注リスクの高い顧客群の特徴は何か
  • 売上予測から軌道修正すべきことは何か

トークスクリプトの整備

営業のトークスクリプトとは、商談時の話の内容、流れなどをあらかじめ定めておく台本のことです。営業トークの水準を高められ、人材育成やスキル標準化の観点でも役立ちます。

トークスクリプトを作成する際のポイントは、以下の通りです。 

  • 営業場面に応じてトークのゴールを設定する(例:課題ヒアリング時、商材の提案時、契約時など)
  • 商談相手のペルソナを設定してトークの精度を高める(例:顧客の興味関心を誘う内容、流れなど)
  • ヒアリングすべき項目を整理する
  • 会話の流れに沿ったフローチャート形式で作成し、トークパターンを複数用意しておく
  • 運用しながら、より効果的なスクリプトにブラッシュアップする

また、台本を棒読みしているような状態にならないよう、事前にロールプレイングでコツをつかむなどの取り組みも合わせて行うとよいでしょう。

「シーラベル」は営業プロセスの標準化やシームレスな部門間連携を支援

営業力を上げるには個人のスキルアップだけでなく、組織的な仕組み化に取り組む必要があります。また、営業活動の可視化をスムーズにするシステム化は、ベストプラクティスの共有や適切なマネジメントを可能にするため、個人のスキル向上をサポートする役割も果たします。

営業プロセスの標準化や部門間連携、トークスクリプト作成でお困りの場合は、BtoBセールスマーケティングにおいて豊富な事例・経験をもつシーラベルにお気軽にご相談ください。

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(Salesforceコンサルタント・ HubSpotコンサルタント所属)

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