属人化していた営業プロセスを可視化し、SFAの導入・活用を軸に営業力を底上げする仕組みを構築

1974年創業のプラスエンジニアリング株式会社は、精密・特注部品加工を通して「日本のものづくり」を支えている会社です。

同社では、属人化していた営業プロセスを可視化・改善するために、シーラベルにコンサルティングを依頼。営業フェーズの定義化からSFA(Sales Force Automation)の選定、Salescloudの導入・活用、営業資料など販促ツールの整備までシーラベルが包括的に支援したことで、営業力を底上げする仕組みを構築されました。

依頼前に抱えていた課題やシーラベルの支援内容、評価について、営業第3部部長 藤谷 大様にお伺いしました。

(以下、敬称略)

営業プロセスが可視化されておらず、社内の足並みが揃わない

会社紹介・事業内容

当社は、製造設備で用いられる特注の部品を製造している会社です。金属や樹脂を1000分の1ミリ単位で削る精密加工技術を強みとしており、お客様のご要望に合わせて高精度の部品を受注生産しています。通常、当社のような規模の会社では量産品を手掛けるものですが、多品種少量の特注部品に特化してビジネスを展開しているところが特徴です。

半導体やコンデンサーなどを扱う電子部品メーカー様をはじめ、業界や規模を問わず幅広い製造業の企業様とお取引があります。年間約400事業所様から1万6千件くらいの受注をいただいており、そのうち約半数は特注部品を1~2個作って終了という案件です。

そのような事業を展開していくにあたり、当社では営業部門をお客様の業種別に3部に分け、約30名で営業活動を行っています。私は第三部の営業部長と営業部全体の統括部長を兼任しており、約2年前から、シーラベルさんのご支援のもと営業改革を進めているところです。

抱えていた課題

当社が抱えていた課題は、長年にわたり属人的な営業を続けてきたことによって営業プロセスが可視化されておらず、「数値に基づいた営業管理」や「組織的な動きによる営業力の底上げ」ができていなかったことです。

国内に仕事が溢れていた時代は個人の営業センスに任せておけば良かったのですが、近年のように中国や東南アジアの製造業が台頭している競争環境では通用しなくなっています。当社は、そうした時代の流れにフィットする体系的で戦略的な営業体制を構築できていませんでした。それゆえに、経営層から営業部長、担当者まで意見がバラバラで、いざ解決策を打とうとしても問題意識や方向性が一向に一致しないといったコミュニケーション障害も起こっていました。

また、優秀なプレーヤーの営業スキルは経験や感性に依るところが大きく、OJTなどで人に継承できる性質のものではありません。そのため、営業が属人化したままでは若手が育たないという危機意識も強く、営業部全体のレベルを底上げできるような土壌を整えることがマネジメント層の使命のひとつだと考えていました。

「特注部品の営業」でもSFAを活用した営業管理ができると思わせてくれた

シーラベルに依頼した経緯

営業をどのように変えていくか試行錯誤していたとき、当社社長とお知り合いだったシーラベルさんを紹介されました。当時、社長はMA(マーケティングオートメーション)の導入についてシーラベルさんに相談していましたが、社内の足並みが揃っていない段階でMAを導入しても定着しないと思ったため、まずは営業プロセス全体を見渡せるような管理体制を整えることが先決ではないかと進言しました。

その流れで、営業の課題についてシーラベルさんにご相談することになりました。シーラベルさんとお話をして最初に好印象をもったのは、「お客様目線の言葉を使ってセールストークをしないと伝わりませんよ」と言われたことです。たしかに、成果が出ない人はそれができていないな、と私自身が気づかされたところがありましたし、「売上を上げるコンサルティングをします」とおっしゃったことも心強いと感じました。

また、お客様ごとに事情が異なる特注部品の営業は、一般的な営業のセオリーに落とし込むことが難しいと考えていましたが、シーラベルさんは「SFAを活用すればうまくできるかもしれない」と思わせてくれました。

当社のような、BtoBのニッチな製造業を対象とした営業コンサルティングはシーラベルさんしか知りませんし、色々とお話をするうちに営業改革を実現できそうな感触が得られたことが決め手となりました。

商談の進捗やボトルネックが可視化され、社内のコミュニケーションも改善

シーラベルが支援した内容

まず、各営業部長が課題や不満に感じていることをすべて洗い出すことからスタートし、月2~3回のペースで話し合いを重ねながら最初の3ヶ月で一気に営業フェーズを整理しました。その際シーラベルさんは、フェーズ整理のスケジュールを設定し、こちらの理解度に応じてアウトプットのイメージを調整しながらうまく推進してくれました。

整理した営業フェーズ

営業フェーズの移行定義

我々は一般的な営業プロセスに関する知識が乏しいため、社内の人間だけで話し合うと理想論が展開され、一握りのスペシャリストにしか運用できない仕組みを目指しがちです。それに対してシーラベルさんは、「一般的にはこういうやり方があるんですよ」「こういう方じゃないと管理しづらいかもしれません」など一般論を織り交ぜながら軌道修正してくださったので、議論がまとまりやすかったと感じています。

そして、営業フェーズを効果的に管理・運用するために、どのようなSFAを選定するべきかの要件の定義から導入後の設定支援、活用方法のアドバイスまで、一貫してサポートしていただきました。

また、トークフローやトークスクリプトなど、フェーズ移行率の改善に役立つ営業ツールもご提供いただいており、新人育成に活用しています。

整理したトークフロー(一部)

支援後の変化

営業をフェーズ管理する仕組みを構築できたことで、商談の進捗状況やボトルネックが可視化され、社内で共通認識をもてるようになりました。以前はバラバラだった問題意識もかみ合ってきていますし、社内のコミュニケーションが改善されつつあると感じています。

マネジメントの立場では、商談状況を案件ごとに時系列で簡単に追えるようになったことで、要所要所でタイミングよく指示を出しやすくなりました。

Salesforceを活用した営業フェーズ管理は、例えるなら「健康診断」のようなものです。各フェーズの移行率や前年比などの数値・指標をもとに、営業のどこにウィークポイントがあるかを特定できるようになったので、論点を明確にした上で的確な対策を打つことができます。

これからSalesforceの本格的な運用が始まれば、ボトルネックの整理に要する時間を大幅に削減できると思うので、意思決定や営業改善のスピードは格段に速くなるだろうと確信しています。

シーラベルは必要な支援をトータルコーディネートしてくれる

シーラベルの評価

シーラベルさんの支援全体を通して、とても満足しています。営業フェーズの定義化からSalesforceの導入支援、販促ツールの整備まで、包括的に支援してくれたおかげで、営業の質を底上げできる仕組みが整いました。

シーラベルさんの魅力は、当社の状況を俯瞰した上で必要な施策をトータルコーディネートしてくれるところです。例えばSFAのベンダーさんに相談すると、ほとんどはツールの機能やメリットなどの説明に終始されますが、シーラベルさんはツールありきではなく、それ以外の施策も含めて提案してくれます。

SFAはあくまでも営業を管理・支援する手段に過ぎないので、ツールにとらわれずに幅広い解決策を提示していただけることがありがたいです。

また、私以外の営業部長もシーラベルさんを高く評価しています。プレイングマネージャーとして現場に出ていることが多いため、何か取り組みたいことがあっても内容を精査してまとめる時間がなく、営業の仕組みを作るノウハウもありません。シーラベルさんはBtoB営業の経験や知識が豊富で、我々が実現したいことを包括的に支援していただけるのでとても助かると言っています。

今後の展望

営業フェーズや管理項目を明確にしてSalesforceに落とし込むところまで完了し、今後はSalesforceを本格的に運用する段階に入ります。当社のメンバーも自主的に勉強会を開くなど、Salesforceによる営業管理の定着に向けて前向きな姿勢が見られます。

とはいえ、Salesforceの管理項目をすべて人の手でフォローするのは難しいと感じています。できる限り人手を介さずに管理していきたいので、シーラベルさんには引き続き、そのあたりのアドバイスやサポートをしていただけたらと考えています。

■企業紹介

社名:プラスエンジニアリング株式会社
事業内容:生産設備用特注部品、製品用試作開発部品の製造
URL:https://www.pluseng.co.jp/