プロが教える『導入事例』必勝法とは?坂本達夫のスタートアップ酒場イベントレポート

BtoB企業にとって、CVR向上につながる重要コンテンツの1つである『導入事例』。一方で、「導入事例をHP上に掲載してもあまり読まれない……」といった悩みを抱える担当者も多いかと思います。

そこで今回は、YouTubeのライブ放送にておこなわれた『坂本達夫のスタートアップ酒場』のイベントレポートをもとに、導入事例の活用方法をご紹介します。

対談に登場するのは、フィンランド発のマーケティング企業Smartly.io(スマートリー)に勤める傍ら、自身のYouTubeチャンネル『坂本達夫のスタートアップ酒場』を持つ坂本達夫氏、そして、株式会社シーラベル代表取締役・渡辺敬吾です。

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導入事例はBtoBビジネスの鉄板コンテンツ!

渡辺敬吾(以下、渡辺):シーラベルの渡辺です。本日はよろしくお願いします。

坂本達夫氏(以下、坂本):新サービスをリリースされたばかりなんですね。実際に企業にアプローチしてみて、いかがですか?

渡辺:はい。2020年4月より、DX事例プラットフォーム「シーラベル」のサービス提供を始めました。

ベンダー企業の担当者の方から「導入事例を掲載しても、自然流入がなくてPVが伸びない」という声をよく聞きます。
「シーラベル」は、ホームページに掲載している導入事例をそのまま転載してリード獲得ができるサービスなんですが、おかげさまで70社以上のベンダー企業様に掲載いただいております(2020年6月5日現在)。

坂本:「導入事例が見られない」という悩みは、僕も同じです……。

そもそも導入事例って、多くの企業が活用しきれていない印象です。コンバージョンを上げる導入事例のスペシャリストとかって、現状あまり聞かないですよね。

渡辺:たしかに、そうですね。

弊社の独自調査によれば、SaaS企業で導入事例を掲載している企業は半分以下というデータもあります。普段の営業活動やマーケティング活動に集中するあまり、導入事例の作成や活用に至ってない企業が多いのかもしれません。

坂本:わからなくもないなぁ。

ただ、僕自身が営業をやってるときの感覚からして、7〜8割のクライアントから事例を聞かれるんですよね。

渡辺:導入事例は、BtoB領域における鉄板コンテンツでもあるんです。絶対に活用したほうがいいですね。

掲載数とUI・UXも重要!導入事例で効果を得るための指標とは

渡辺:まずは効果の面でいうと、「導入事例の掲載によってCVRが向上する」という調査結果が出ています。

AIアナリストを中心とした事業を展開している株式会社WACULが実施した調査結果によれば、事例コンテンツ数30件までは、事例コンテンツ追加によって得られれるCVR改善効果は大きい、ということでした。

参考文献:SaaSを扱うB2Bサイトにおける事例紹介ページの改善策の提言(株式会社WACUL)

坂本:なるほど。30件までは効果が上がるんですね。

渡辺:はい。また、導入事例コンテンツが12件を超えたタイミングで「事例ページ経由CVR」が「事例ページ非経由CVR」を上回ったそうなんです。つまり、最低12件、できれば30件を目指すのがいいと。

坂本:こんな研究している人がいるんですね、おもしろいです!

うちのHPに掲載されている導入事例の件数は……11件。あと1件足りないですね(笑)

渡辺:ちなみに、事例ページのUI・UXとCVRにも関連性があります。

課題別、業界や業種、規模別に検索できるUI設計することが大切で、それをしているかどうかで、CVRに差が出るという調査結果が出ているんです。

坂本:デザイン面でも効果が変わってくるんですね。

渡辺:そうなんですよ。例えば、あるビールメーカーの企業の担当者がHPを訪れたとして、同じビール会社の導入事例があったら、つい注目するじゃないですか。

そういう意味でも、企業のニーズに応じてフィルタリングできる機能はあった方がいいですね。

導入事例でSEO効果は見込めない?「検索クエリ」で例外を見つけるコツ

坂本:これは僕が個人的に気になるところでもあるんですが、SEO効果を出せる導入事例ってあるんでしょうか?

渡辺:正直、導入事例だけの単体で集客できるケースは、ほとんどないですね。

というのも、「Smartly 導入事例」といったキーワードで検索してHPを訪れる人は、すでにSmartlyのことを知ってる人なんです。

坂本:サービスを知っている人は別として、逆に知らない人に訪れてもらう効果は、あまり見込めないと。

渡辺:そうなんです。

ただ、もちろんSEO効果はゼロではありません。サービスを既に知っている人以外の検索クエリは、smartly.ioさんの場合例えば「広告自動化 事例」などだと思います。そこまでの検索ボリュームは無いと思います。

導入事例コンテンツを制作することによって、インタビューの会話で出てくる様々なキーワードでインデックスされる可能性はあるので、サイト全体としてはプラスには働くと思います。

坂本:なるほどなぁ。

渡辺:コンテンツのあり方としては、このマーケティングファネルを参照してみてください。ターゲットとしては、潜在顧客というよりも、サービスを比較検討している「検討後期」のファネルを意識してもらえればと思います。

マーケティングファネルと導入事例

坂本:こうやって構造化するとわかりやすいですね!

渡辺:これまでの話の流れを変えるようですが、導入事例のSEO効果にも、例外はあります。

坂本:そうなんですね!どんな場合でしょうか?

渡辺:提供しているサービスが解決できる「課題」ワードに関して、「事例」「成功事例」というサジェストワードがあった場合です。そのときは、なるべく課題を掘り下げた記事を執筆してみる価値はあると思います。

課題ワードと事例

渡辺:例えば、「社内コミュニケーション」に関連するサービスを提供している会社があるとしましょう。このサービスの場合、事例に関連する検索ニーズはあるので、「社内コミュニケーション」を掘り下げた導入事例記事を執筆するとよいかもしれません。

導入事例コンテンツで重要なポイント2つを解説!

坂本:ここからは、導入事例を作る際のポイントを伺っていきます。

渡辺:大事なポイントは、大きく2つあります。

1つ目は、読者の立場で導入事例のコンテンツを作ること。2つ目は、先ほどの話にも通じるんですが、成功事例を意識することです。

渡辺:1つ目についていえば、NG例としてよくあるのが、読者が読んでもためにならないコンテンツになっているケース。

サービス提供企業の一方的な情報発信になっていて、課題解決のイメージが湧きません。

IT業界に使っていると忘れてしまいがちですが、「IT化をどう進めたらいいかわからない」「DX(デジタルトランスフォーメーション)ってよく聞くけど、何から始めればいいの?」という声は非常に多いんです。

読者の立場で導入事例のコンテンツを作ることが重要

参考:SaaS業界レポート2019(スマートキャンプ株式会社)

坂本:そうですよね。

僕らのようなIT・広告業界にいると「インハウス化しよう」と考えるのはありがちですが、「何から始めればいいの?」という人の方が一般的なんですよね。

渡辺:すぐに「このサービスを使おう」とはならないからこそ、「自社の課題を解決してくれるんだな」と思えるような、読者に寄り添った導入事例コンテンツを作っていく必要があると思います。

坂本:2つ目の成功事例を意識するというのは、具体的にどういうことでしょうか?

渡辺:これは、単なる「導入実績」にならないように気をつけましょう、というお話です。

導入実績か成功事例か

渡辺:ただの導入報告を並べるだけでは、企業ロゴを並べて掲載しているのと変わりません。

クライアントにどんな課題があって、その課題に対してどうサービスを活用しているのかまで、ノウハウを交えて「成功事例」にまで落とし込むのがポイントです。

坂本:サービスの訴求だけでなく、前段階の課題や活用法を順番に追っていくイメージですね。

渡辺:そうですね。成功事例として、企業が抱えるビジネス課題や、業務改革への取り組みを具体的に書くことで、読者が参考になるコンテンツにすることが大切です。

導入事例に盛り込むポイント

※導入事例の書き方については、こちらを参考にしてください。
導入事例の書き方・制作方法|「読まれる導入事例」の共通点・テンプレートとストーリーの作り方

既存顧客をベースに横展開を狙える可能性も…!

 

導入事例活用方法まとめ

 

渡辺:本日のまとめとしては、このようになります。

導入事例は、その企業を知らない人からは見られないからこそ、SEO施策よりも、セッションの多い場所に掲載したり、そこからの導線を引いてあげるのが重要です。

坂本:それ大事ですね。

もし企業や提供サービスが知られていなければ、認知度の高い既存サービスのページ上などに、「こんな課題を解決するサービスもありますよ」と掲載するわけですね。

渡辺:そんなイメージです!

また、これまで「ニーズ別に検索できるUI設計」「読者目線でのコンテンツ作成」などを紹介してきましたが、これらは既存顧客からの横展開を狙うにも、非常に有効です。

実際、業界特化型サービスになればなるほど、横のつながりでサービスを紹介してもらえるケースも多いですよね。

坂本:その視点はなかった!導入事例って、いろいろな活用法があるんですね。

いわゆる、新規リード獲得だけを考えていると出てこない発想かもしれません。

渡辺:さらに「同業他社の導入事例をチェックしている」という企業担当者の声も聞くので、業界別の検索機能は特に重要だなと感じますね。

こういった活用法も意識して事例コンテンツを作成することで、結果的にユーザーから盛り上げるかたちで導入事例を増やしていく、という使い方もあるかなと。

坂本:よくわかりました。あと活用法の最後に、「シーラベルにも転載」とありますが…?(笑)

渡辺:そうですね(笑)

DX事例プラットフォーム「シーラベル」では、現在100サービス・300記事を超える導入事例コンテンツが掲載されています。読者は、複数の導入事例をまとめて検索・閲覧できるのが特徴です。

例えば「同じ上場したばかりの企業はどんなツール使ってるんだろう?」と、似たような規模・組織課題を抱えた企業が参考にできる仕組みです。

坂本:めっちゃおもしろいですね!

今後さらにコンテンツが溜まっていけばユーザーも増えるだろうし、似た業界の方が検索に訪れる可能性が期待できますね。

渡辺:ちなみに、掲載自体は無料です。今は期間限定で、リード提供も無料でおこなっています。

坂本:いいですね!

今回のイベントは、僕自身が事例作っていくうえでとても参考になりました。

これからは成功事例を増やしてシーラベルにも載せていければと思うので、引き続きよろしくお願いします。

渡辺:導入事例作成で課題を抱えている企業担当者の方には、ぜひ活用いただければと思います!

本日はありがとうございました。

 

【登壇者プロフィール】

坂本 達夫:楽天、Google、AppLovinを経て、今は北欧のマーケティングテクノロジー企業Smartly.ioにて、日本第1号社員として日本展開をリードしています。

noteはこちら:https://note.com/tatsuojapan

渡辺 敬吾:株式会社シーラベル 代表取締役。

twitterはこちら:https://twitter.com/wawakeigo

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